伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

今日のはてブ(2017/01/11)(1)(2018/02/07追記)

(2018/02/07追記。一部の注釈に補足追記)
Hearts of Iron Ⅳのようなストラテジーゲームにおいて小規模な国家をプレイするときに最も辛いのは、産業が乏しいことでも研究能力が低いことでもましてや軍隊がロクに揃っていないことでもなく人的資源がとにかく足りないことだと思います。中国ソ連おそロシア、伊達要一です。
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人的資源の観点から見た労働問題

人口爆発」ということが語られていた時代があまりに長かったが故か、労働問題の専門家ですらも国家レベルの人的資源という観点からの議論が為されないのが非常に残念でなりません。

俺はね、五人潰して役員になったんだよ: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

この手の「三等管理職」は適切にパージするなり適切なポジションの落とす仕組みは必要でしょうなあ。ところで大手広告代理店ってどこでしょうね(棒)

2017/01/10 10:51

ある種のフィクションとしてであることは重々承知ですが、いわゆる戦前的なるものの考え方で言えば「畏れ多くも天皇陛下赤子(せきし)を資本家の雇われ風情が使い潰すなぞ不敬の極み」などと言いたくもなります。
や、私はただの共産趣味者的国粋趣味者の類ですけどね。

真面目な話をすれば人的資源を「潰す」ような役員は銃殺刑に処するか迷惑にならない業務に従事させるのが至当と考えます。これは管理職としての資質云々ではなく国家に対する犯罪の類です。そのくらい問題は大きいものと考えねばなりません。人的資源という観点で言えば三等管理職というものはその位社会に対して有害なわけです。

冒頭にも書きましたが、18世紀後半*1からとりわけ第2次世界大戦以降*2全世界的に見て人口が爆発的に増加することが続いており、人的資源というものはマクロの視点から言えば制約と考えずむしろほぼ無限と捉えられてきました。また、第2次世界大戦以降は大規模な動員を必要とする戦争が絶えて久しいこともあり多くの国においては徴兵制を布くことも人的資源の大規模な消耗が発生することも無かったことから少なくとも第1次世界大戦や第2次世界大戦当時のようなシビアな人的資源に対する意識は失われてしまいました。
欧州においては若年者の失業問題や移民に対する問題に見て取れますし、米国では低所得層の不満が蓄積した結果としてドナルド・トランプ氏が大統領に選出されたことが記憶に新しいところです。また、とりわけ日本においてはバブル崩壊以降、比較的人的資源プールに余裕がある状況が続いていた*3ことから産業界の立場としては労働者の扱いを悪くしたことで人的資源を消耗したとしても、代替を容易に調達出来た状況が継続していました。

ただ、本質的に言えば人的資源というものは有限であり国家全体の維持発展を考えれば、適切に用いる必要があることは論を俟ちません。
これは日本に限定した議論になるわけですが、団塊の世代と呼ばれる年齢層がいわゆる定年退職を迎えることに伴って、企業の人的資源は次第に圧迫されつつあり結果として求人が徐々に難しくなってきている現実があります。少子高齢化に伴う人的資源の減少はかなり昔から議論されているわけですが、大きく改善するといった話は今のところありません。

語るまでも無いことではありますが国家における人的資源というのは、少なからざる人的資源を手当て*4し、少なからざる国費を投じて教育を施して*5ようやく労働者として活用可能な人的資源となるわけです。冒頭に述べたような類は、そういった少なからざるコストを無為に費消していることになるわけです。繰り返しになりますがそういった類の連中が如何に国家にとって有害かがご理解頂けるかと思う次第です。
さらに先に述べたように少子高齢化が進む中で人的資源がプラスになることは考えにくく、そろそろレジームが変わりつつあることを認識する必要があります。

そういったことを踏まえた上で、過去何回か取り上げてきた電通事件の話です。

電通「過労死」問題は社長辞任で解決できない | 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

電通事件自体、三等管理職の問題と労働時間規制の問題と両面あって、モチベーションの美名のもとに前者ばかり論じて後者を捨象するのは如何なものかと思いますがね。

2017/01/11 09:20

まずもって犠牲となった方の上司とやらは典型的な三等管理職でしょう。人的資源を消耗させることはおろか死にまで至らしめた。敢えて卑小な言い方をすれば失われた人命にこれまで投じられてきた多くのリソースを無駄にしたわけです。即ちこれ無知無能にして塵芥以下の下劣の類であって直ちに社会から取り除くべき害悪です。今回検察送致となったそうですが罰金刑や執行猶予で済ませるのではなく、本来であれば刑務所で更生をさせねばならないでしょう。また、それを放置した経営陣も同様に然るべき処罰が下って欲しいものです。

他方、冒頭述べた通り人的資源は有限なわけです。如何に良い管理職であったとはいえ「モチベーション」「やりがい」の美名のもとに過重な労働を求め結果として消耗させることは厳に慎むべきです。過重な労働状況が継続することによって人的資源から生み出されるアウトプットが適切な労働状況で生み出されるアウトプットと比較して劣位にあることは、科学的にも云々されている以上、人的資源を無為に消耗させていると指摘されても仕方が無いわけです。
すなわち人的資源を適切な賃金で適切な量投入する最大限の努力をはらわない管理職や経営者というのは、またこれも三等にして劣等の類でしょう。多少書き手を尊重する言い方をするなら、経歴から察するに要するに人的資源に比較的余裕があった時代の方なんでしょう。良い時代を生きてこられたんでしょうね。それだけにレジームが変わりつつあることに自覚的で無ければ今後社会の敵になるでしょうが。

ところで、IT屋の端くれとしてある種自戒を込めて書くわけですが、IT技術が達成できる数字面での効率化なんてたかがしれています。ITは本質的には適切に人的資源が投下されている環境において、そこで発揮されるパフォーマンスを拡大するフォースマルチプライヤーとして機能するものであって、人的資源をケチるためのものではありません。私もそうなんですが、とかくIT屋がやりがちな売り込み文句は「人役を減らせる」で本質に踏み込めている技術者なんて本当に居ません。ITサービスを買う側の意識も問題ではあるのですが、IT屋側の人的資源に対する憎悪のような業を感じてなりません。IT屋自身も平気で人的資源を減らすような仕事の仕方をするわけで色々とお察しくださいな状態ではあるんですが。

*1:百科事典マイペディアの記述より

*2:ブリタニカ国際大百科事典の記述より

*3:要するに不況であったということ

*4:出産、育児に伴い家庭部門にアサインする必要がある。(2018/02/07追記:ちなみに出産はともかく、育児については父親や母親ではないケース――祖父母の支援やベビーシッター、家政婦、保育園などがあたるケースもあるわけですが、当然それに伴って人的資源をアサインする必要があるということになります)

*5:議論がそれるので詳述は避けますが義務教育等が機能しない状況になれば、それだけ活用可能な人的資源が失われることになる。(2018/02/07追記:義務教育等が機能しない状況というのは、「よみ・かき・そろばん」という極めて基礎的なスキルを平準化させなければ、戦力足り得る人的資源にすることが出来ない。その他義務教育の課程に含まれるものはその延長線上にあると捉えてよいと考えられる)

富士そばの「精神的余裕」云々って教育コストをムダにしないための hedge だよね

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昨日投げた更新でちょっと長めに書いたニュースネタがありましたので、2018年01月のはてブ扱いとして別記事として抜粋(と一部追記)しておきたいと思います。

togetter.com
富士そば自体、良くも悪くも「中小企業らしい」色合いが濃い会社だと思っていて、個人的には手放しで称揚する気は無いんですが*1


ただ、この考え方自体「中小企業らしい」経験則として正しいんですよね。

*1:演歌の作詞だの歌手のポスターだのは、わかりやすいアレな例ですわな

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今日のはてブ(2017/11/07)

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久々のはてブです。これからはもう少し頻度を上げたいところですが、はてさてどうなることやら。
それで、経済誌のオンラインメディアはそれなりにどこも注力していることもあって、それなりに追っかけているんですが日経ビジネスオンラインの「コンビニ大試練」のシリーズはかなり良い出来ですね。というわけで今日はこちらの記事からはてブを拾いました。

ファミマ社長「コンビニは間違いなく飽和状態」:日経ビジネスオンライン

フランチャイザー側から「飽和状態」という言葉が明確に出たというのは興味深い。コンビニの特性をどのように方向転換していくかが生き残りの鍵かと思う次第。

2017/11/07 12:27

非常に興味深いインタビューです。若干食い足りない部分はあるけども「飽和状態」という言葉をフランチャイザー(本部)側のトップが発したということは注目に値するでしょう。
そもそも論としてコンビニエンスストアでよくある「ドミナント出店」*1自体が、ほぼ本部サイドの都合で行われているわけですよね。ここまであちらこちらにコンビニがあるような状況下では、新規出店イコール既存店舗の減収に繋がるわけです。本部側としては既存店舗の売上が減ったとしてもトータルでプラスになれば損をしない計算だけども、フランチャイジー(加盟店)側としてはたまったものじゃない。そりゃあ、加盟店側は利益を確保するためにギリギリの人員・賃金で運営を進めたいでしょう。
要員確保難の問題は、本来オペレーションの冗長性*2を確保した上で最低限確保すべきところ、売上的な面で確保困難になっていることにあるわけです。要員の数も絞らないといけないし、賃金も抑えないとやっていけない。
冷酷な言い方をすれば、そういった本部の動きを把握出来ずに手を出した加盟店側の経営的な無能なわけで、あまり同情する気にもなれないけども、無為無策で拡大を続ける本部側の責任はしっかりと追求しなきゃならないと思います。

*1:狭い地域に同一チェーンの店舗を多数出店させること。当該地域内での認知度向上もさることながら、配送オペレーションが容易になるという店で本部側のメリットが大きい反面、フランチャイジー(加盟店)側としては実態として同一チェーン内での「共喰い」状態になるため新規出店に対して反発する動きもある

*2:例えばフェア等に伴う増員や突発的な混雑に対応するなど

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今日のはてブ(2017/08/11)

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前回の記事が6月14日付けのこちらですから丸々ふた月近くはてブをお休みしていました。
yohichidate.hatenablog.com
まぁ、気分的にニュースネタを拾う余裕が無かったこともあるし、わざわざリキを入れて書くほどの話題も目につかずだらだら先延ばししていたわけですが。ただこうも書いていないと、いざ書くときにどうやって書いたら良いのか、若干悩みモードに入ってしまうわけでありまして。全くもって困ったことです。徐々にスロットルを開いてギアを上げねばならないとは思っているのですが。

未だに私企業に「兵隊」を求める愚――ゼリア新薬工業新入社員自殺事件

よく証券会社や銀行で、東大などの旧帝国大学の類とは別に、そこそこの難易度の大学の体育会系から「ソルジャー採用」などと称して実質的にゴリオシ営業専門で雇うなんて話は、大分昔から語られている話であります。ソルジャーってのは要するに兵隊で、指揮官の意を受けて死ぬ気で突撃せよというなんともアレな意味が込められているあたり、ある種「軍隊を知らない学問エリート」の怖さを感じてなりません。あるいは日本には本来的な意味でのエリートは存在しないという傍証なのかもしれませんが。

「いつまで天狗」新人研修中に自殺 ゼリア新薬を提訴:朝日新聞デジタル

これ、要するに研修対象者の人格をぶっ壊してから、都合の良い人格に置き換える作業。フルメタル・ジャケットのアレの劣化版のようなもの

2017/08/11 02:02

この事件の話を聞いて真っ先に思い浮かんだのはフルメタル・ジャケットです。あるいはティピカルな軍隊の姿*1と言って良いのかもしれません。

*1:現実の軍隊の姿がこういったティピカルな姿と言い切れないことは、棟田博現役兵のころに伍長勤務上等兵まで勤め上げて、かつ当時としては相当高度な教育を受けたインテリゲンチャ)の著作を読めばよくわかる

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今日のはてブ(2017/06/14)

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5月の末に半ばノルマ消化気味にやって以来の「今日のはてブ」です。ここのところ色々と状況が改善してきて、以前よりはニュースのチェックに時間を割けるようになった関係もあり、今月はもう少し頻繁に――最低でも週に1本は更新したいところです。
まぁ、あくまでも「願望」に過ぎない話ではありますが。

さて、6月一発目のネタはこちらになります。

富士フイルムからしてみれば奇貨となる、富士ゼロックス不正経理問題

世の中、パッと見た目にはアンラッキーな出来事だったとしても、よくよく見てみるとラッキーな出来事というのが往々にしてあるわけでありまして…… この度発覚した富士ゼロックスの海外子会社による不正経理*1もそれなのかな、と思う次第です。


今回まずもって抑えておかなければならないのは、富士ゼロックスという会社の特殊性です。言ってみれば本体からの独立性というか独自性というか、あまり風下と思ってなかったきらいがあるということになります。

そもそも富士ゼロックスは、1960年代*2ゼロックスの英国法人ランク・ゼロックスと合弁で設立したのが生い立ちです。当然合弁ということもあり、出資比率はゼロックス側と半々でした。
その後21世紀に入ってすぐに当時左前だったゼロックス本体*3から持ち株の買取を打診されて出資比率が75%となり、連結子会社となります。さらに「富士写真フイルム」が「富士フイルムホールディングス」となったタイミングで、本流事業を執り行う子会社の「富士フイルム」と同じく事業子会社となったという歴史的背景があったということですね。また、小林陽太郎*4のような著名な人士を輩出していたという自負も富士ゼロックス側にあったわけです。
さらに、富士フイルムホールディングスのなかで富士ゼロックス(ドキュメントソリューション)が占める割合は5割近くあり、自負心も強ければ源流の「写真フイルム」の色合いが強いホールディングスに対する反発心といったようなものがあったのでは無いかと推察されます。

その上で以下のはてブをご覧頂ければ、と。

不適切会計の富士ゼロックス、“富士フイルムカラー”で出直し

「雨降って、地固まる」というよりも、富士フイルムとしては事業再編の良い口実になったくらいに思っていそうですね。

2017/06/14 13:36

*1:不適切な経理処理というのは明らかにお茶を濁し過ぎな表現だと思う

*2:現在の「富士フイルムホールディングス」がまだ「富士『写真』フイルム」として写真フィルム事業を中心に展開していた時代

*3:その頃には英国法人が米国本社に吸収合併されていた

*4:富士ゼロックス会長。富士写真フィルム出身だが、富士ゼロックスの名物経営者として有名だった

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