伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ガッデム(新谷かおる/MF文庫)

モータースポーツというのはいつの間にか日本ではかなりマイナーなものとなってしまった。F1は地上波での放送が無くなってCSに移行しちゃったし、SuperGTもそれなりに人気はあるものの、どうしてもコアな連中だけに支持されている感がある。それに、日本…

アフリカ・レポート(松本仁一/岩波新書)

難しいことを簡単に、そして単純に説明するということはとても重要なことだ。難しいことを難しく説明するのは知識さえあればだれだってできる。それを単純に解きほぐし説明することが知性であり、専門家のつとめだとぼくは確信している。だが、これには物事…

駅前の歩き方(森田信吾/モーニングKC)

B級グルメブームである。ちょっと田舎に行くと町おこしとやらで、よくわけのわからない食べ物が売り出されている。それどころか最近ではそんなメニューを集めたイベントが開催されて、またそこに人がわんさか集まるなんてことになっていたりする。最近では…

砂の薔薇(新谷かおる/白泉社文庫)

PMC(Private Military Company)というものがある。簡単に言ってしまえば傭兵とかの派遣会社のようなものだ。ずいぶんと昔からこれに類するものが存在していたが、最近イラク戦争とかの関係で注目されるようになってきた。もちろんこの注目は基本的には…

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男(マイケル・ルイス、中山宥訳/ランダムハウス講談社)

大沼という野球選手が居た。典型的な二軍以上一軍未満の選手で、ピンチの場面で登板した日にはご丁寧に塁に居る選手を生還させてそれからそこそこのピッチングをするという、まさに防御率詐欺のような選手だ。よほどの野球ファンでもなければ一山幾らの野球…

神様のカルテ2(夏川草介/小学館文庫)

その昔、ナイター中継がお茶の間の団欒の中心にあった時代があった。当然というか巨人阪神戦(いや、別に巨人大洋戦でもいいが)を父親がビール片手に眺めている光景というのは、所謂「懐かしい光景」としての昭和像としてよく映し出されてきた。 いつのころ…

神様のカルテ(夏川草介/小学館文庫)

一般文芸に対して書評を書くのは若干躊躇するものがある。ぼく自身それほどそういったものを読んでいるわけではないし、そもそも一般文芸でかなりの数を占めるミステリの類にあまり親和性が無いこともあって、そちらの知識があまりないからだ。第一、これら…

現代アフリカの紛争と国家(武内進一/明石書店)

アフリカの紛争というとどういったものを想像するだろうか? たとえばルワンダのジェノサイドもその一つだし、最近起きた(起きている)イスラム過激派のテロリズムもその一つと言える。もっと細かいものを取り上げるとキリが無いほどだ。 ぼくの持つイメー…

Papa told me(榛野なな恵/YYコミックス)

「日常系」という言葉がマンガ評論の中で用いられて久しい。その嚆矢としては「あずまんが大王」だったり最近で言えば「ゆるゆり」なんかがそうだ。例示する作品が偏っている気がするが、まあ気にしないでおこう。 ただ「日常系」というタームが用いられる前…

ブレーメンⅡ(川原泉/白泉社文庫)

川原泉というと短編に定評のある作家という印象がある。というか、長編を書ききる体力があんまりないという表現の方が適切だろうか。実際、メイプル戦記も休載を連発していたし、続き物のエッセイ漫画である「小人たちが騒ぐので」も最後の方はボロボロだっ…

靴ずれ戦線 魔女ワーシェンカの戦争(速水螺旋人/Ryu Comics Special)

独ソ戦というと日本においてはドイツ側からの話が多くなっている印象がある。そりゃあ、ソ連側の話題となるとどうしても玄人好みになってしまうし、多士済々のドイツ側を取り上げた方が商売的にもいいわけでわからんでもないが、ソ連萌えの偏ったひとたちか…

妖怪Walker(角川書店/村上健司)

「東方Project」というシューティングゲームをご存じだろうか? ZUNこと太田順也氏率いる「上海アリス幻樂団」という同人サークルが手掛けたインディーズゲームだ。これがシューティングゲーム界隈はおろか音楽・文芸その他色んなジャンルにわたって二次…

ベトナム戦記(開高健/朝日文庫)

サントリーというと言わずと知れた洋酒メーカーだが、その一方で優秀な文人を輩出していたりする。「江分利満氏の優雅な生活」で一躍有名になった山口瞳やマカの宣伝やエッセイで名をはせた斎藤由香などである。その文人としての先駆者であるのが著者の開高…

昭和金融恐慌史(高橋亀吉・森垣淑/講談社学術文庫)

歴史というものを学ぶ意味は如何なるところにあるのだろうか? それは過去に起きた事象から得た教訓を現在に活かすということが大きい。なんとなれば、これこそが人間を人間たらしめる叡智と言ってもよいだろう。なにやら近年の不勉強な輩は「今だけ見ていれ…

ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版(服部正也/中公新書)

物語というものにはいくつかの定型――テンプレート的なものがある。その中でも、ボロボロになった組織を立て直しハッピーエンドというものは色んな媒体で書かれている。一般的な中間小説もそうだし、オジサン向けの企業小説はおろかライトノベルでも(若干ア…

南ア共和国の内幕 増補改訂版(伊藤正孝/中公新書)

「アパルトヘイト」ということばを知っているだろうか? 近現代史が大学入試においてあまり扱われない(扱われたとしても東西冷戦構造を中心とした歴史が中心になる)ことから、もしかすると知らない人もいるのかもしれない。南アフリカ共和国において行われ…

働かないアリに意義がある(長谷川英祐/メディアファクトリー新書)

「パレートの法則」という言葉がある。法則と言われているが実のところただの経験則というのが実態と言えるのだが、ともあれ世間ではよくよく使われている。これは「社会では少数の人間・事象が全体的な動きを支配し、大多数を占める部分は小部分が動かすに…

煙草、ライターのこと(人生、この憂鬱なるもの)

人生はとにかく憂鬱なものである。世間を渡るにはろくでもないことにも耐え、思わず顔をしかめたくなる出来事を忍び、孤独の中を「居きる」よりほかない。「居きる」は「生きる」に通じ、人は多かれ少なかれ自らの中に他社を拒絶するという憂鬱の中にその身…

議論のルール(福澤一吉/NHKブックス)

日本の社会に置いて議論という知的な作業はとりわけ脇に置かれる傾向が強い。周りを見渡してもよくわかるだろう。疑問に対して質問したとしてもそこに返ってくるものは「よけいなことを考えるな!」「自分で考えろ!」「俺の言うことに従え!」。ここに知的…

世紀の空売り(マイケル・ルイス、東江一紀 訳/文春文庫)

リーマンショックというと、ぼくにとってはなにげに感慨深いものがある。いってみれば、ぼくが諸事情により傘貼り浪人のようなマネをしているとき、ちょうどリアルタイムで起きている現象を見ていたのだ。正直、やることもなく不遇をかこっていたが故に朝か…

工学の歴史 機械工学を中心に(三輪修三/ちくま学芸文庫)

ぼくらの身近のものは当たり前の話だけど一定の法則があって成り立っている。小は機械式の時計だったり大きなもので言えば電気を生み出す発電所だったりする。さらに言えばそれらを生み出す加工用の機械だってそうだ。これらは「工学」という学問分野によっ…

学問と「世間」(阿部謹也/岩波新書)

「学問」が不当に扱われる世の中である。いきなり何を言うのかと思うかもしれないが、実際問題として大学で学問を修めるにあたり実質的には3年余りしか時間が与えられない(いわゆる「シューカツ」というやつのせいだ)状況は「学問」をなおざりにしている…

ハーメルンの笛吹き男――伝説とその世界(阿部謹也/ちくま文庫)

阿部謹也さんというと、ぼくからするととても微妙な思いを抱えた先生だ。正直なところを言えば早くて中学生、ふつう高校生、遅くても大学生までには「読んでいるべき」であって、三十路を手前にして今更読み始めるということの恥ずかしさというのがどうして…

時刻表昭和史(宮脇俊三/角川文庫)

存外、個人の人生というものは鉄道の動きに合わせたものなのかもしれない。最近ふとそんなことを思うようになってきた。 なんとなれば、ぼく自身も小学校に上がるまでは「電車」に乗ることが特別な出来事であった。それは実家のマイカーで移動することが多か…