伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

今日のはてブ(2017/04/18)

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本日の更新でも書きましたが、今日はここ数ヶ月で一番気力が充実している感があります。というわけで2日連続の今日のはてブ更新です。威張るような話でも無いんですが。

技術的進歩はマネージメントの失策を補わない

流通業も細分化されすぎているために、一概にひとつを取って全体を語るということが非常に難しくなっているのは事実ですが、全体としての課題はマネージメントの失策という点で共通しているあたり、色々と悲しくなる今日この頃です。

コンビニ大手5社、全店に無人レジ ICタグ一斉導入  :日本経済新聞

経営という観点で言えば所詮は弥縫策に過ぎない気が

2017/04/18 23:01

まずは根本的な話として、コンビニエンスストア業態は従業員*1の雇用について、非常に厳しいジレンマに陥っているということを理解しておかねばなりません。本来、各チェーンのマニュアル上、要員配置について一定の基準があるんですが、現実的にそれを満たすことが困難な状態におかれています。その理由は複数あって、例えば売上/利益の変動が大きいことで安定して多くの要員を雇用することが難しいというのもありますし、昨今指摘されているようなフランチャイズ契約についての問題もあります。
個人的に研究課題としている話として、単純に単純労働者としてのアルバイト従業員を要員に充てることが困難という問題もあります。なんとなれば、多くの流通業において50代~70代までの比較的高齢の女性パートタイム従業員*2を軍隊における「下士官」的ポジションに配置し、単純労働者たるアルバイト従業員を数名配下に置くようなことを目論むのですが、現実的にその層の需給が厳しくなっていることもあり困難になりつつあります。それを補う意味で契約社員として就職氷河期世代を雇用するという動きもありますが、若干遅きに逸したの感は否めません。

今般、ICタグを用いた商品・売上管理を進めるという話は、この要員不足というのが非常に大きいということが前提になります。
言うまでもないことではありますが、コンビニエンスストアは原則的に定価販売を行うことから単品の利幅こそ食品スーパーマーケットやディスカウントストアと比較して大きい傾向にありますが、一方で客単価及び来店者数はそれらと比較して小さくなる傾向にあり、粗利益の絶対額という観点で言えば極めて小体と言わざるを得ません。従って食品スーパーマーケットのような部門別の労働集約的な運用が困難であり、従業員の多能工化を進めなければ利益の確保が難しいという課題が避けて通れません。
多くのコンビニエンスストアにおいて、レジ業務というのは多客時にはどうしても労働集約的な運用が必要となる部門ではありますが、要員規模から現実的には困難となり混雑からのクレームに繋がりかねないことになります。
無論コミックマーケット開催時における会場近隣の店舗のように明確に多客が見込まれるような状況であれば、本部からの応援要員を大量投入するという奥の手も使えますが、日常的な運営のなかではそういったことは中々為されないというのが現実です*3。従ってこういった道具立てを持ち込むことで、波動的な労働力不足/過剰を平準化するという意味ではメリットがあるのは否定できません。

ただ、売上/利益関係のなかで適正な要員配置が困難であるという根本的課題が解決されたわけではありません。技術的にはイノベーションに限りなく近いものであることは間違いないのですが、経営という観点で言えば所詮は弥縫策に過ぎません。
ある程度の範囲で要員不足の問題を補うことは予想できますが、根本的解決にはつながらないと私は見ます。

*1:当然パートタイマー、アルバイトを含む

*2:この限定には意味があります。高度経済成長期に中等教育・高等教育を受けた上で、職業経験を有した後に結婚によって職場を退き、子どもの面倒が小さくなることで職場に復帰しているひとが非常に多いのです。往々にして基本的な職業教育や組織での行動を教育されているこれらの層はある意味で雇用者にとっては人材の金城湯池といえます。これらの層を結婚を理由に職場から手放してしまった企業の失策についてはいつか別項で論じたいところではあります。

*3:例外的運用はあれど、フランチャイズ契約というところがある意味阻んでいる側面もある。