伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

ドキュメント 戦争広告代理店(高木徹/講談社文庫)

「国際的なプレゼンスを高める目的で、日本ももっとカネを使うべきだ」という意見がある。曰く「クール・ジャパン」だとかそんなのもこういったことの一環である、などと。ある種ご説ごもっともではあるのだけども、ぼく自身は素直に頷けないところがある。
それも、本書のような事例を読んでいるからだ。
本書で扱っているのはユーゴにおけるセルビア人勢力とモズレム人勢力の争いの中で、モズレム人勢力であるシライジッチとそのバックについたルーダー・フィンというPR会社の動きである。
こういった宣伝戦というと、とかく後ろ暗いイメージが強いが本書で語られる内容は驚くほど地味なものだ。こまめに読みやすいリリースをキーマンに投げる。はっきり言ってしまえば昨今流行りの「ライフハック」でもネタにならないようなとっても地味で面倒な作業だ。
しかし、この地味で面倒な作業によってモズレム人勢力は国際的な争いのステージで勝利し現在の状況に至っている。
THE FACTなんてセンスの無い新聞広告にカネを出した連中には是非とも読んで欲しい。
その上でどういうことをすべきかを考えてみてもらいたいところだ。