伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

経済

地域を豊かにする働き方(関満博/ちくまプリマー新書)

中小企業研究で著名な明星大教授である著者による、東日本大震災被災地の中小企業から見る地域産業と日本の産業の将来について論じた一冊。 先日紹介した「東日本大震災と地域産業復興」を、一般向け(若干若い世代向けかな)に纏めなおしたような感じで、前…

クルーグマン教授の経済入門(ポール=クルーグマン著、山形浩生訳/ちくま学芸文庫)

ノーベル経済学賞を受賞した経済学者による、経済学入門書。いわゆる教科書的な本とは一線を画し、新書本的な体裁で纏まっているものの、経済学の基本的な部分をしっかりと押さえた素晴らしいものだ(もっとも、原著はやたらと重々しいハードカバーなんだけ…

格差社会 何が問題なのか(橘木俊詔/岩波新書)

京大で教鞭をとる著者による、日本の「格差」問題についてデータをもとに分析した一冊。 いわゆる「格差」問題というのは、どうしてもイデオロギー的な側面とやっかみを中心とした嫉妬がからみ冷静な分析というのがとても少ないのだが、本書はこれに対して極…

地域経済と中小企業(関満博/ちくま新書)

中小企業研究で著名な明星大教授の著者による、東京近郊の中小企業集積について分析・研究した成果を纏めた一冊。 京浜工業地帯ということばを今でも小学校では教えているのだろうか? 今日ではこういった形態での工業集積分類はあまり意味が無いとされてい…

すべての経済はバブルに通じる(小幡績/光文社新書)

個人投資家としても有名な慶應大学准教授である著者による、近年発生している「バブル」についてそのメカニズムを分析した一冊。実務者寄りというよりかはかなり理論的な本で、ちょっと内容は難しめだ。それでも新書として出ている本だし、それほど人を選ぶ…

デフレの正体(藻谷浩介/角川oneテーマ21)

日本政策投資銀行に勤務し地域振興の各分野に活躍する傍ら、平成合併前の約3200市町村の99.9%、海外59ヶ国を訪問した経験をもつ著者による、景気不振についてかなり大胆に論じた一冊。背表紙の惹句に「『景気さえ良くなれば大丈夫』という妄想が日本をダメに…

空洞化のウソ(松島大輔/講談社現代新書)

現在タイ政府政策顧問として出向中の経産官僚の著者による、中小企業の海外進出をプロパガンダする一冊。正直、あまり評価できるものではない。 まず、第一に、なんでこの分野の先行研究である関満博の本が入ってないの? この時点で色々と胡散臭さが漂う。…

歴代首相の経済政策全データ増補版(草野厚/角川oneテーマ21)

慶應義塾大学総合政策学部で政治学、日本外交論、政策過程論を専門とする著者による、戦後の首相の経済政策を中心とした政策概要を纏めた一冊。新書本らしい企画ながら、各内閣における所信表明演説はじめ、施政方針演説、財政演説、経済演説からもひいて紹…

日本の経済格差(橘木俊詔/岩波新書)

日本の経済格差を所得と資産の観点から統計分析し、政策提言をロールズの「公正原理」における「マクシミン原理」に基づき論じた一冊。 曰く「格差社会」について色々と語られる機会は多い。やれ、新自由主義的な経済がどうこうだとか、いや労働組合が既得権…