伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

本日の更新(2017/09/27)

ほぼ復調を遂げ、本来は更新せにゃならんと思う次第なんですが、偶々めっけたこちらの本が面白くてついつい読みふけってしまいまして。

NHKの内部向けマニュアルを外向きに改めた*1一冊で、中々面白いです。幾つか重箱の隅を突きたくなるところもあるんですが*2、かなり広いスパンで様々なネタを拾っているのでためになります。特に帝国海軍における「だいい・だいさ」に関する記述は興味深いところです。

以下、重箱の隅について。

1)召集令状について
赤紙の項に記載。役場の兵事課員が配達する、兵役経験者が召集される際には大概「予備役陸軍歩兵(砲兵・騎兵など)一等兵」か「同上等兵」という記述あり。
重箱の隅の話としては、昭和16(1941)年まで、要するに大陸での事変に関する召集では「後備役陸軍歩兵(砲兵・騎兵など)一等兵」や「同上等兵」のケースがあるというところも触れてほしかった。「拝啓天皇陛下様」が本文中記述されているが、その原作者棟田博氏は「後備役陸軍歩兵上等兵」として動員されている。

2)一式陸攻
「いちしきりっこう」と呼び名のところにこだわるのは、ある意味NHKらしい。ただ、同時代としては「中攻」として呼ばれた「九六式陸上攻撃機」との絡みも触れて欲しかったところ。海軍部内では当該機も「中攻」と呼ばれたという文献もあったような。

3)編制周りのお話
やや散漫な記述で、むしろわかりにくい印象を受ける。もっともそうそう簡単に概略を述べることが可能なほど単純明快な話でも無いのが厄介なところであるが…… 1936(昭和12)年改正の陸軍平時編制*3が基本的テキストとして非常にわかりやすいので、まずはそちらを参照するのが良いかと。

*1:恐らく元のマニュアルには、実際に放送/公開された作品のタイトルやそれに対するかなり辛辣なコメントがあったものと推測出来る

*2:召集令状や一式陸攻、陸軍の編制周りのお話

*3:アジア歴史資料センター、レファレンスコード:C01007515600