伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

今日のはてブ(2017/08/11)

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前回の記事が6月14日付けのこちらですから丸々ふた月近くはてブをお休みしていました。
yohichidate.hatenablog.com
まぁ、気分的にニュースネタを拾う余裕が無かったこともあるし、わざわざリキを入れて書くほどの話題も目につかずだらだら先延ばししていたわけですが。ただこうも書いていないと、いざ書くときにどうやって書いたら良いのか、若干悩みモードに入ってしまうわけでありまして。全くもって困ったことです。徐々にスロットルを開いてギアを上げねばならないとは思っているのですが。

未だに私企業に「兵隊」を求める愚――ゼリア新薬工業新入社員自殺事件

よく証券会社や銀行で、東大などの旧帝国大学の類とは別に、そこそこの難易度の大学の体育会系から「ソルジャー採用」などと称して実質的にゴリオシ営業専門で雇うなんて話は、大分昔から語られている話であります。ソルジャーってのは要するに兵隊で、指揮官の意を受けて死ぬ気で突撃せよというなんともアレな意味が込められているあたり、ある種「軍隊を知らない学問エリート」の怖さを感じてなりません。あるいは日本には本来的な意味でのエリートは存在しないという傍証なのかもしれませんが。

「いつまで天狗」新人研修中に自殺 ゼリア新薬を提訴:朝日新聞デジタル

これ、要するに研修対象者の人格をぶっ壊してから、都合の良い人格に置き換える作業。フルメタル・ジャケットのアレの劣化版のようなもの

2017/08/11 02:02

この事件の話を聞いて真っ先に思い浮かんだのはフルメタル・ジャケットです。あるいはティピカルな軍隊の姿*1と言って良いのかもしれません。


今更語る必要性すら感じないけども、軍隊というのは要するに一朝有事に於いて最寄上級指揮官の命令を受けて任務を遂行する組織です。任務というのは究極的には敵をマトにして無力化せしめることです。命令が下される前の段階で、当然意見具申は存在する*2ものの、原理原則として上級指揮官の命令は絶対であり、たとえ自らの命を捨てることとなるような不合理なものであったとしてもそれを遂行することが求められるわけです。
極論を言えば命令が下された段階に於いて、兵士に思考は必要無く己が身を捨て死地へ突撃するものと言えるわけです。

そういった兵士を育成する過程で用いられる手法が、先述したフルメタル・ジャケットで描写されているような「洗脳」なわけです。従来の市民としての価値観・人格を全て否定、破壊したうえで、兵士に求められる命令に対する絶対的な忠誠を持つように人格を構築する。これは、軍隊というものが極限的環境下において「間違いの無いように」行動させるためにするある種合目的的な教育手法なわけですが、そういった手法によって育成された兵士が市民社会に適合するようなものであるのかどうかというのは、もはや書くまでもないでしょう。


言うまでも無く私企業というのは市民社会に存在するものです。勿論例外はあれど原理原則としては、市民社会にあってその上でなお社会に益を為す存在であることが求められる。だから「法人」というある種の「特権」が認められているわけです。これを一言でいうならば「企業は社会の公器である」*3ということになります。
その上で考えてみましょう。このような「命令に対する絶対的な忠誠」を「洗脳」された従業員を抱える私企業は、果たして「社会の公器」足り得るものでしょうか? 私企業での事業活動というのはともすれば市民社会に於いて要請されるものとある種相反することが、往々にして発生します。談合やカルテル、不正、過去も今も枚挙に暇がありません。これらに対して「社会の公器」足り得る私企業の従業員が「命令に対する絶対的な忠誠」を誓った存在であって良いものなんでしょうかね?

ましてや製薬会社なわけです。医薬品を扱う会社ですよ。製品の性質からいえば市民社会から求められる請託というのは、より大きいわけです。そんな私企業がこのような研修を是としたことに唖然とせざるを得ないわけです。少なくとも「知らなかった」で許される話じゃない。事前にカリキュラムは知らされているし、大抵新人研修程度であれば人事の研修担当者は交代で部分部分を見るわけですから。さらにこの研修を実施したビジネスグランドワークスですか。卑怯にも2017/08/11現在ウェブサイトへのアクセスを規制しているわけですが、これを厚顔無恥と言わずしてというやつです。
直ちにこの卑怯卑劣極まりない法人どもを市民社会は断頭台に送り処刑せねばならないでしょう。

*1:現実の軍隊の姿がこういったティピカルな姿と言い切れないことは、棟田博現役兵のころに伍長勤務上等兵まで勤め上げて、かつ当時としては相当高度な教育を受けたインテリゲンチャ)の著作を読めばよくわかる

*2:よく世間が勘違いしていることして上級指揮官の命令は絶対であるというものがありますが、それは明確に命令が下された段階の話であって、その前段階においてはそれぞれ意見具申という形で命令の問題点を指摘する義務が存在します。一方で下された命令に対しては先述の通り上級指揮官の命に対し絶対的に服すことが求められるわけですが、反面、任務遂行に於いて発生した問題は指揮官が負うものとなるわけです

*3:松下幸之助の有名なことば

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