伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

本日の更新(2017/02/28)


昨晩は風呂を沸かす沸かさないで家人と一悶着あって、ごたごたしている間に25時に。エチゾラム*1ゾルピデム*2エバミールを飲んで直ぐ布団へ。結局26時前くらいに入眠。
朝は6時に目覚ましをセットしたものの起きたのは8時を大分過ぎてから。少しずつ睡眠周期がマシになりつつあるけども、まだまだ先は長い感がありますね。



ここで取り上げた越前市の「人事異動及び人事記録に関する規定」ですが、いやはやこの手の情報がウェブで入手できるようになるとは本当に良い時代になったものですね。昔であれば加除式の分厚い法令集だのを探さないといけなかったんですが。



つぶやきの文字数の関係で分割になってしまっているんですが、まずは「休職」関係で似たようなものをまとめてみます。まずは定義からです。

24 専従休職
 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下この表において「法」という。)第55条の2第1項ただし書に規定する許可を受け職員団体の業務に専ら従事するための休職の場合をいう。


25 療養
 結核性その他の疾患のため、自宅療養又はその他の療養を命ずる場合をいう。


26 休職
 法第28条第2項の規定により職員としての身分は保有するが、職務に従事させない場合をいう。


38 育児休業
 地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号。以下この表において「育児休業法」という。)第4条第1項の規定により職員としての身分は保有するが、職務に従事させない場合をいう。


40 自己啓発等休業
 法第26条の5第2項の規定により職員としての身分は保有するが、職務に従事させない場合をいう。

(越前市)人事異動及び人事記録に関する規程 平成17年10月1日 訓令第13号(平成26年4月1日施行)

この微妙な違いが大変に興味深いのですが、このまま発令文に続きます。

15 専従休職
  越前市職員 氏名
  越前市職員団体専従休職の件は許可する
  期間は 年 月 日から 年 月 日までとする


16 療養
  越前市職員 氏名
  越前市職員健康管理規程第○条の規定により 年 月 日から 月間療養を命ずる


17 休職
 心身の故障のための休職の場合
  越前市職員 氏名
  地方公務員法第28条第2項第1号の規定により休職を命ずる
  休職期間は 年 月 日から 年 月 日までとする
  休職期間中給料、扶養手当、住居手当、寒冷地手当及び期末手当のそれぞれ100分の○○を支給する
  (休職期間中給与の全額を支給する)
 刑事事件による休職の場合
  越前市職員 氏名
  地方公務員法第28条第2項第2号の規定により休職を命ずる
  休職期間は 年 月 日から 年 月 日までとする
  休職期間中給料、扶養手当及び住居手当のそれぞれ100分の○○を支給する


29 育児休業
 承認の場合
  越前市職員 氏名
  育児休業を承認する
  育児休業の期間は 年 月 日から 年 月 日までとする 


31 自己啓発等休業
 承認の場合
  越前市職員 氏名
  自己啓発等休業を承認する
  自己啓発等休業の期間は 年 月 日から 年 月 日までとする

(越前市)人事異動及び人事記録に関する規程 平成17年10月1日 訓令第13号(平成26年4月1日施行)

この、何というか些細な違いを考えると大変に趣深いものがあります。
まず「命ずる」となっているものは、療養、休職なわけですがこれらは根拠法/条例に拠れば「(対象者の)意に反して」発令するものであり、上位者からの「命令」という形を取っているわけです。

一方で育児休業、自己啓発等休業については言ってみれば職員側の権利として、それに対して認めるという形態を取っています*3。なので「承認」なわけです。

面白いのが専従休職のケースですね。これは「許可」となっています。
これは地方公務員法第五十二条に定める職員団体の専従者になるケースで、一般的に云うところの労働組合の専従者になることです。国家公務員・地方公務員の場合、1948年以降団体交渉権と争議権が否認されており、労働組合法に規定される「労働組合」の結成も否認され、一般の労働組合とは異なる職員団体の制度が設けられている*4ため、このような分かりにくい表記になっているわけです。
それで専従者になる件についてなのですが、原理原則上は当局側と対立する立場になるものの労働法制の精神からそれを否認することが妥当ではないという非常に微妙なところが「許可」によくよく現れていて大変に面白いところです。



この3つは住民票マニア以外では警察マニアにも知られているところかもしれません。

18 事務取扱
上級の職にある管理職員に他の下級の管理職員の職が欠員であるとき及び他の管理職員に事故があるときにその職の職務の代行を命ずる場合をいう。


20 心得
下級の職員に他の上級の管理職員の職が欠員であるときにその職の職務の代行を命ずる場合をいう。


21 事務代理
管理職員に事故があるときに同級又は下級の職をその職にあるままで当該管理職員の担当する職務の代行を命ずる場合をいう。

(越前市)人事異動及び人事記録に関する規程 平成17年10月1日 訓令第13号(平成26年4月1日施行)

さらに類似するものに兼務と併任があります。

11 兼務
同一任命権者のもとで現に任命されている職にあるままで更に他の職を兼ねて任命する場合をいう。


13 併任
現に市長以外の任命権者により任用されている職員をその職にあるままで更に市長を任命権者とする職員に任命する場合をいう。

(越前市)人事異動及び人事記録に関する規程 平成17年10月1日 訓令第13号(平成26年4月1日施行)

まず事務取扱ですが、例えばとある部局において課長が欠員となっている課が存在する場合において、部局長に当該課の課長事務を行うことを命ずるようなときに使います。
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これに関しては住民票マニア界隈ではほぼ見ることの無いものになります*5が、警察関係だとたまにこういった職に補されているケースがあるようです*6

次に心得です。古いマンガなんかに「課長心得」の役職にある微妙なオッサンが出てきますが、役所の世界では「一般職員の等級でありながら上級の管理職員の職務を代行する」ことを指しかなり重たい意味を持ちます。
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これも例を挙げると、とある課長が欠員となっている課において事務取扱や事務代理を行うことが難しいような場合、等級上筆頭にある一般職員に課長としての事務を行うことを命じるようなときに使うことになります。これに関しては警察なんかだと階級との絡みもあり、発令されたとしても極めて一時的なものになるのではないかと推察されるところですが、もしかすると弾力的に運用されているのやもしれません。

最後に事務代理です。
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これはまさに住民票マニア垂涎のやつですね。例としては、不祥事やリコールなどで市町村長が不在の場合職務代理者*7が事務を行うケースです。通常であれば大抵副市町村長で済む話なのですが、特殊なケースではさらに下位の管理職員が事務代理をするケースもあったりします*8

よく民間企業でごっちゃに使われる兼務や併任も抜書しましたが、これを見ればよくわかる通り、本来的には「兼務」として発令すべきではなく「事務取扱」として発令すべき人事が濫発されていることがよくわかると思います*9*10。こういったことを理解した上で会社の人事発令を眺めてニヤニヤするようなアレな性格なわけです>アテクシ

*1:デパスのゾロ薬

*2:マイスリーのゾロ薬

*3:現実問題として、規定に則った申請に対してはほぼスタンプラリー状態で承認されているものと推察されるので認めるも何も無いというところかもしれませんが

*4:ただし、大概の職員団体の名称は「○○労働組合」となっているケースが多い。法律を所管する「法務省」の職員団体も全法務労働組合となっている。

*5:住民票は当該市町村長が発行するものであり、市町村長の上位者は存在しないため

*6:警察本部における警務部人事一課(及びそれに相当する課)の課長は警務部参事官という副部長に相当する分掌官が事務取扱するケースがままある

*7:副市町村長以下職務代行順により決まる

*8:宮城県大槌町において東日本大震災で町長が死亡したことにより副町長が事務代理を行ったが、折り悪く副町長の任期が町長選挙を行う前に切れたことと課長級管理職員の定年退職や罹災により死亡したことが重なったことで総務課の一般職員が課長に昇進した上で職務代行をおこなったという事例がある。

*9:○○部のもとにある××課の長が欠員のケースで「○○部長兼××課長」という人事が発令されることがままあるものの、上述の基準から言えば「○○部長××課長事務取扱」とするのが本来的である。ただし、○○部長が別の部(△△部)の部長を兼任するケースは「○○部長兼△△部長」となる

*10:規模の大きい企業グループにおいて、子会社籍にある管理職員が親会社の役職を兼ねるケースも「兼務」とされるが、こちらは本来的には「併任」とするのが本来的であるといえよう。