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伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

予測されざる結果――2016年アメリカ合衆国大統領選挙(1)(2016/11/10 21:23更新)

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(2016/11/11 22:07更新。ミシガン州はトランプ氏で確定のようです。CNNもニューヨークタイムズも決まったと思って更新していなかった模様。ミシガンに関する分析はまた別途必要だと思いますが、とりあえずこれでこの記事に関しては更新終了とします。)
(2016/11/10 21:23更新。結果が確定した州を反映。なおミシガン州だけ未確定の模様。往年の阪急南海消化試合のような臭いがしてなりません。)
(2016/11/09 21:31投稿)

昔、某予備校にて入試問題について「予想はよそうよ」というブリザード級ダジャレをかました講師を冷ややかに眺めた経験があります。
伊達要一です。

共和党のドナルド・トランプ氏が次期アメリカ合衆国大統領として選出されたということで、マジかよ感が否めません。いや、開票結果を受けてなのでマジもクソも無いわけなんですが。
それにしても結果が出るのに時間がかかりましたね。昼ごろに大勢が判明ということで、スマホを片手に昼飯を食べていたら確定していない州が山ほどあって、その後PCの前で開票速報に齧りつくハメになりました。
ここまで結果が出るのが遅くなったのも久々のような気がするのですが、こんなもんでしたっけ?

ほいで、これからどうなるか? ということ自体はどうせ色んな識者があーだこーだ書くと思うので、木っ端ブロガーとしては少し斜に構えたことを書いていきたいと思います。
まずは、事前の予測から大きく外れたという話からです。

選挙というと日本なんかで言うと往々にして希望的観測やら各選挙陣営からの引き締めを兼ねたズレまくった予測が飛び交うのが様式美であって、半ばネタ混じりに眺めるものとなっています。まあ、当然アメリカにも似たようなものがあるわけでありまして。ただ、こちらはどちらかと言えば各選対が使うようなもの実働レベルで役に立つものが多いようです。
なかでもウェブ上の識者がよく取り上げる選挙予測で「Cook Political Report Electoral College Voting Ratings」というものがあります。ここが今までかなり鉄板級に当ててきている実績があって、そういった経緯もあり取り上げられていたっぽいんですが、今回の選挙ではどのように予測していたんでしょうか?

以下はCook Political Report Electoral College Voting Ratingsの2016年11月7日現在(最終予測ということになる模様)のデータを、勝敗を含めて色分けしてみたものです。

(※)州名に【D】がついているものは民主党候補勝利、【R】がついているものは共和党候補勝利を示す。
州名の末尾は選挙人の数(結果/予想)を示す。
ネブラスカ州及びメイン州は大統領選挙結果に伴う選挙人獲得は2名。これに加えて下院選挙区ごとに最多得票の陣営に付与される分(メイン州2人、ネブラスカ州3人)が存在する。

事前予想では互角とされた激戦区を全て落としても民主党ヒラリー・クリントン氏が選挙人を278人獲得して優勢とされてきました。日本での報道の元ネタも殆どここから取られていたと思われます。
結果と照らし合わせてみると、事前の予測で盤石とされていた州は双方とも勝利していますが、民主党ペンシルベニアウィスコンシンの両州を落としてしまい、なおかつ互角とされていた州をほぼ全て落としてしまう結果となりました(2016/11/11 22:07追記:さらにミシガン州も落としました。そりゃ負けるわ。)。一方、共和党はリード以上の州では全勝とかなり固い戦いを展開した上で激戦州、そして民主党リードの地域から支持を奪い勝利したと言えます。
勝敗のカギとなったのはウィスコンシンペンシルバニアの両州で、戦いの縮図がここにあったと仮定して詳しく見ていきたいと思います。

まずはウィスコンシン州。ここは1984年のロナルド・レーガン大統領以降民主党候補が勝利しているのですが、2000年のジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)対アル・ゴア氏(民主党)、2004年のジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)対ジョン・ケリー氏(民主党)の選挙でかなりの接戦となっており、決して盤石といえる地域ではありません。
というか、上記の顔ぶれを見て接戦だったというあたり、色々とお察し頂ければと思います。
今回の選挙でも現時点(2016/11/09 21:11現在)で約26,000票差のかなりの接戦を制して、共和党のトランプ氏が勝利を収めました。

次にペンシルベニア州。ここも1992年以降民主党候補を支持してきた地域ですが、2004年にはケリー氏が当時現職大統領だったブッシュ氏に僅差で勝利したという実績があります。ただ、ウィスコンシン州と比較すればいわゆる「青い州(Blue State)」と言える土地柄です。
ところがここは一つ面白い材料があって、上院議員は共和党候補を選ぶという傾向があります。そういった面から言うとやはり盤石とは言い難い地域ではあると言えます。
今回の選挙では現時点(2016/11/09 21:11現在)約67,000票差の僅差でトランプ氏が制しています。

さて、この2つの州。僅差という以外にも共通点があります。
それは、都市部ではヒラリー氏支持、地方ではトランプ氏支持という点です。
ニューヨークタイムスのWebサイトを見るとよくわかるのですが、大都市を抱えるミルウォーキー郡やデーン郡ではかなりの大差をつけてヒラリー・クリントン氏が勝利しているのに対して、それ以外の地域ではトランプ氏が勝利しています。こちらのページを見ると一目瞭然で比較的大きな都市を抱える郡は民主党の青に、それ以外の地域が赤に染まっています。
ペンシルバニア州はそれがもっと顕著です。こちらのページを見ると、都市部を抱える郡とそうではない郡が青と赤に塗り分けられています。

実は、今回の選挙は学位や人種、性別、収入の多寡という観点ではなくて、都市対地方という構図で各地争われたのではないかと推測されます。それも通常州単位でそういった戦いになりがちなアメリカ大統領選挙で、郡という小さい単位でそうなっているようです。
では、何故そういった構図での戦いになったのか? これについて、次回少し書いてみたいと思います。