伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

イギリス帝国の歴史(秋田茂/中公新書)


ヴィクトリア朝ロンドンと言えばイギリスの「黄金時代」である。この呼び方は知らなくてもシャーロック・ホームズの活躍した時代と言えばピンと来るかもしれない。TRPG好きでいえば、クトゥルフ神話TRPGでもこの時代をテーマにした「クトゥルフ・バイ・ガスライト」というサプリメントがあって、多少なりともこの時代の「空気」というものを体験することが出来る。他にも色々とあるが、キリが無いのでこの辺にしておこう。
これらの時代はイギリスという国家が世界的に覇権を握った頃と一致する。まあ、当たり前の話だがいつの時代も繁栄というものはカネか権力(もしくは両方)を握った者が手にする「配当」だ。そんなイギリスという国家の繁栄はいったいどういったものから得られたのだろうか?
教科書的な解答としては、植民地を背景にしつつ産業革命によって「世界の工場」となり世界帝国として覇権を握ることとなった、というものだが、それだけではちょっとつまらない。つまらないという表現はあまり適切ではないかもしれないが、それだけで奥深い「覇権」の世界を知った気になったのではちょっと勿体ないと思う。本書はそんな基礎知識をさらに補強してくれる一冊だ。
イギリス帝国が覇権を握るまで、そしてその覇権のもと繁栄をし、第二次世界大戦後のスエズ動乱を経て覇権を失うまでを、ある程度の基礎知識を持っていれば大変に読みやすくまとめた良書だ。高校生あたりで歴史と言うものに興味を持ったのであれば、受験勉強の合間に読んでみてもいいだろう。