伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

議論のルール(福澤一吉/NHKブックス)


日本の社会に置いて議論という知的な作業はとりわけ脇に置かれる傾向が強い。周りを見渡してもよくわかるだろう。疑問に対して質問したとしてもそこに返ってくるものは「よけいなことを考えるな!」「自分で考えろ!」「俺の言うことに従え!」。ここに知的な要素は一切無く、上位下達の押しつけしかない。鹿児島というか薩摩国においてよく言われる言葉に「議を言うな」というものがあるが、まさにこれである。
これは日本という国が知性よりも脳筋的脊髄反射な言葉が飛び交っている一つの証拠である。正直、こんなことを続けていて、この先生き残れるとはとても思えない。本書は、そんな日本人に議論というものを行う上でのルールをインストールするものである。
本書の内容は至極真っ当な議論のルールを述べたもので、その紹介の仕方(国会答弁と爆笑問題の番組を取り上げている)も含めて何も文句をつけるところはない。但し、本書を読んで議論のルールをインストールしたところで、社会の中でとても活用できる状態ではないだろう。それどころか、返ってくるものはよくて罵声か叱責、悪ければ拳骨や解雇通知が返ってくるに違いない。日本という国はかように議論というものを放棄し、脳筋な世界観の中で回っているという極めて情けない国なのだ。
だが、だからといって諦観の中で沈没していくというのもあまり賢明な態度とは言えないだろう。ぼくたち若い世代がそういったものを明確に間違っていると認識し、そういう連中をどんどん少数派にしていくことで社会を変えていく。そういったことが大事だとぼくは考える。本書はそういった能力を身につけるために最適の一冊であると思う。

はじめに
序章  蔓延する不毛議論
第一章 ルールなき議論の現在
第二章 噛み合わない議論
第三章 「爆笑問題のニッポンの教養」を解体する
終章  わかりやすい議論をめざして
議論の前に脳内にインストールしておきたい二〇のルール
引用・参考文献
おわりに