伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

自分で調べる技術(宮内泰介/岩波アクティブ新書)


インターネットの普及に伴って、「知っている」から「調べる」への置き換えが進んで久しい。かくいうぼくも、結構いろんなことを忘れながら生きていて、本を読んだり調べ物をしたりするとき、ウェブだの辞書だの、それに参考資料を探したりしながらやっていることが殆どだ。
ところが、その「調べる」の質はどうなんだろう? と思うことが、ままある。それこそ、まるで何も調べず、学ばず書き飛ばしているような言説が飛び交うのを目の当たりにすると、とてつもなくげんなりするのだ。それに日常生活だけの話だけじゃない。本来「調べる」ことをしながら学問を修めるはずの大学生ですら、よくよく調べもせず物事を見過ごしていることがよくある。それでいて、卒論となると真っ青な顔をして図書館や本屋を探し回るならまだマシで、担当教授に泣きついてテーマやら文献やら聞いて済ませるなんてフトドキモノも沢山居ると聞く。
本書は、そんな風潮に対して一石を投じてくれる。もともとは市民活動――みんなが忌み嫌うプロ市民もここには含まれるかもしれない――向けに書かれた調査についての本なのだが、そんなところだけに使うのも勿体ない。2004年に上梓されたこともあり、使う機材(今どきMDレコーダを探そうとしても結構困難だろう)やインターネット周りの話もちょっと古さを感じさせるところがあるが、図書を探したりそれを纏めたり、インタビューしたりといった部分は今でも十分通用する内容だ。
何かを調べる必要があるとか、論文を纏めなければならないといったシチュエーションだけではない。日常を過ごす中で疑問を持ったり、仕事をする中で調べ物をすることだって、当然あるはずだ。そういった時にこの本は役に立つだろう。