伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

東日本大震災と地域産業復興II(関満博/新評論)


いやはや、メモも取らず一気に読んでしまった。これはスゴイ本だ。先に紹介した同タイトル書の続編。2011年10月1日から2012年8月31日までの中小企業の復興について記述されている。内容的には平易だけどもやはり専門書、大部ではある。でも一度は手に取ってみてほしい。また、前作同様経済系学部の大学生諸君は是非読み通してみて欲しい。山形浩生さん(@hiyori13)が非常にコンパクトに纏まった書評を書いているのでそちらも参照
震災から半年経ってからということもあり、東北各地の企業、その復興のケーススタディが中心となる。そういった意味で概論を知りたい人はまず前作を読んでからの方がとっつきやすいはずだ。
本書そのものは先ほども触れた通り個別のケーススタディが中心となっている(とはいえ東北太平洋側の産業についてかなり深く知ることができるのだが)。その中で政府や県の特別融資が非常に大きな役割を果たしていることが印象的だ。実際問題として「現場」側としては、仕事を続けたいのだ。アジアシフトの話だとか一次産業に対する都市民的「偏見」から、東北への投資ということに二の足を踏む御仁もいるかもしれないが、さにあらず。詳しくは本書を読んで驚きたまえという所だが、東北太平洋沿岸の水産業、水産加工業がこれだけ付加価値の高いことをやっている(またはやれる余地がある)ことを知れたのは私にとって大きな収穫だった。
私に限らず、産業というとどうしても二次産業を主体に捉えてしまう節があって、一次産業や三次産業に対する視点が欠けることが多い中、これだけ複層的な資料を読むことはそういった欠けた部分を補ってくれることだろう。
ちなみに。本書の中で関東自動車工業セントラル自動車の事例がちょこっと触れられていたのだが、両社がトヨタを巻き込んで先日「トヨタ自動車東日本」として発足したことを付け加えておこう。何故この時期に(本来アジアシフトが叫ばれている自動車産業が)「東北シフト」のような動きをしているか、学生さんのみならず我々社会人も考えてみるべきじゃなかろうかな。前作同様オススメだ。