伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

東日本大震災と地域産業復興I(関満博/新評論)


東日本大震災後2011年10月1日までの地域産業について「現場」での動きを詳述した本。ぶっちゃけた話、かなりの専門書であることは間違い無くて、あまり一般向けではないのだがそれでもここで紹介して色んな人に読んでもらいたい本だ。特に学生さん、それも文系の経済系学部の大学生にはぜひ一度読んでもらいたい。関先生の本は学術書ではあるけど非常に読みやすいし、読む価値がある領域に触れている。それにこの手の専門書を読み通すということは自信にもつながると思う。
内容としてはまさにタイトルの通りで東日本大震災で影響を受けた中小企業を中心とした地域産業がどのような活動をしているかを纏めた内容だ。お恥ずかしい話、東北地方に関する知識が乏しい私には目から鱗がボロボロ落ちる内容だ。特に歴史的観点で言えば、東北地方=田舎論というのが、高度経済成長期の果実を受け取れなかったという「結果論」によるもので、現在ではむしろ北上川流域の産業集積が目覚ましいというあたりは一読して知っておくべきだろう。また、沿岸部の水産業コンプレックスという産業構造はある種コンビナートという日本っぽい産業集積と類似しているところも、押さえておきたいところ。本書や本書の参考文献を中心に読み進めれば、非常に役立つものになる筈だ。
より「現在」に近い復興の話は続編にあるということなので、そちらも別の機会にご紹介しよう。
最後に一つだけ。「日本の中小企業の復元力は強く、一週間ほどで立ち直っていくようである。」 日本の中小企業は、凄いものなんだ。是非学生さんは(そして普通のサラリーマンでも)本書を読んでそういうことを知って欲しい。おすすめの一冊だ。