伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

デフレの正体(藻谷浩介/角川oneテーマ21)


日本政策投資銀行に勤務し地域振興の各分野に活躍する傍ら、平成合併前の約3200市町村の99.9%、海外59ヶ国を訪問した経験をもつ著者による、景気不振についてかなり大胆に論じた一冊。背表紙の惹句に「『景気さえ良くなれば大丈夫』という妄想が日本をダメにした!」とかなり挑発的なことを書いているが、本書の内容はもっと過激だ。
過激と書いたけども、その内容は極めて良質で実体と合致した内容だ。それに根拠となるサーベイの広い方も見事。関満博の調査が現場に密着したものだとするならば、こちらは現場感覚とサーベイの活用をバランスよくやっている感じだ。
内容について簡単に言ってしまえば、今の景気不振は国際競争力でも地域格差でもなく、単に生産年齢人口の減少が原因だというもの。厳密に言うならば、団塊世代の定年退職に伴って、生産年齢人口が急減していることが原因だと述べている。そしてデフレは単なる結果に過ぎないのだ。一見すると、マクロ経済学のモデルとはかけ離れたように見えるが、実際の統計と比較すると著者の意見はそれほど暴論ではない。それどころか、今の若い連中の苦境とも一致するではないか!
正直、これは一回目を通してみて欲しい。その上で、今何をしなければならないのか(ならなかったのか)判断すべきだと思う。今、インフレ目標と称して色々とやっているようだが、これが本当に有効なのか? その上で今の政府の中でまともに現状への対策を理解しているのか誰なのか? 判断する材料としてはうってつけだ。