伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

現場主義の人材育成法(関満博/ちくま新書)


先日「必読」とまで言い切った「現場主義の知的生産法」(ちなみにこのタイトルは誤解をまねくイマイチなタイトルだと思う)の著者が送る「人材育成」についての一冊だ。ただ、ベタ褒めだった前作と比較すると不満が大きい。著者自身が認めているように「発展途上」の「メモ」的な感が否めない。正直色々と惜しいと思える部分が多い。
著者はしきりに「感動」や「思い」という言葉を使っているが、どうも読んでいて若干丸投げ感がするのが大変に残念。正直、前作と比較すると物凄く「他人事」に見えてしまうのだ。事例紹介についても、専門家ではないので仕方ないのだろうが、著者のコネクション紹介に終始している。正直それを読むことにあまりメリットを感じない。
一方で目を引く話はそれなりにはある。「『若い人を育てる』ための基本は、『常に彼らに関心を持ち続ける』こと」という言葉は、著者のゼミナールの隆盛を読む限りでは確かに納得させられるところではある。本書の中で、人を育てることにおいて、「先端」「関心」「指導者が現場の先端に身を置き続ける」ということを挙げているが、これには全力で同意したい。
と、同時に世の中でこれが出来ている(すなわち人材育成がうまくいっている)所が殆ど無いというのが、ある種今の日本の閉塞感そのものなのかもしれない。「関心」や「現場に身を置く」ことが出来ても、「先端」を知らないだとか、「先端」に居ても「関心」が無いとか、そんなケース、いくらでもあるでしょ。(え、どれもない。まあ、そういう三等管理職もクサるほどいますわな)
前作ほど無理に読めとまでは言えない。正直、イマドキの新書らしい本(正直筑摩書房に期待するレベルからするととっても残念な)と言うしかない。ただ、機会があれば拾い読みだけでもしてみて欲しい。人と関わる、育てるということの再確認にはなるはずだ。