伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

歴代首相の経済政策全データ増補版(草野厚/角川oneテーマ21)


慶應義塾大学総合政策学部で政治学、日本外交論、政策過程論を専門とする著者による、戦後の首相の経済政策を中心とした政策概要を纏めた一冊。新書本らしい企画ながら、各内閣における所信表明演説はじめ、施政方針演説、財政演説、経済演説からもひいて紹介しているあたり、かなりの労作である。
昔、といってもせいぜい20~30年前のネット界隈(パソ通全盛期からインターネット黎明期)と異なり、今のウェブ界隈では昔であれば常識であったことが全く知られてないということが当たり前で思わず仰け反ることが、ままある。例えば、保守本流と言って清和会が出てくるとか、ぼくみたいなおじさんからすると頭が痛い限りだ(本書にはそこまで詳しく出ていないが、保守本流と言えば平成研究会や小沢一派が系譜的には該当する。清和会保守傍流が正解)。それこそwikipediaで自民党の歴史でも追っかけてくれていれば多少はまともな会話ができるのだけれども、それもしないでわめく連中とは、とてもじゃないけどやっていられないというのが正直な感想だ。こんなことを言うとお叱りを受けそうだけども、派閥とは何か? だとかそんなところから教えて差し上げなきゃならないなんて、オレは池上彰じゃねぇってぇの!
本書はそんな戦後日本の政治的系譜をかなりしっかりと押さえている点で十分有益だと思う。これを通読した上で、よくわからない点をwikipediaあたりで補足すれば、少なくとも床屋政談をする上で十分すぎるものだと思う。特に、経済政策の効果という点については前後の内閣との関係も詳述してあるので、ここらへんについて語りたい向きは読んでみるといいだろう。
ぼく自身も、一発屋経済官庁であるところの経産省(通産省)がいつからそうなったのか? という点で佐藤内閣という一つの頂点が転換点になっているということを把握したし、記憶がおぼろげだった歴代内閣の政策について総ざらえできたという意味では中々読み応えがあった。
政治がどうこうと語りたいならまず一読、そして座右に。興味の無い向きも新聞の政治欄を楽しく読むことができる一冊だと思う。