伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

中国火車旅行(宮脇俊三/角川文庫)

80年代のまだまだ改革開放が道半ばだった時代の鉄道紀行。当然まだまだ共産圏らしさが色濃く残っている時代で、国営旅行社のガイドが付きまとうなど時代を感じさせる一冊だ。中国の鉄道というと、2011年にあった温州市の衝突事故もあってあまり良いイメージが無かったのだが、80年代の中国国鉄で保線が良かったという描写が頻繁に出てくるあたりがちょっと意外であった。

ところで、中国国鉄に東方紅3型なるディーゼル機関車があって、もう今では地方や専用線にしか走っていないそうな。名前がいろんな意味でいいのぉ(謎)。さらに東風4型なるディーゼル機関車は今でも現役だそうな。その筋の人にはたまらんですのお(さらに謎)。

それにしても、全日空の成田―大連―北京線の第一便(それもトライスター!)に乗るとかとかく時代を感じさせる。そのうち「ジャンボ機」という表現もそういうことになるのかもしれない(737はいまだに現役だけど。ただ、ここで書かれている737は今飛んでいるやつよりもひと世代昔のやつだろう)。

あと宮脇さんの紀行文はとかく食い物の描写が簡潔なのだけども、物凄く食欲を刺激させるというのが凄い。夕食を摂った後で腹いっぱいの筈なのに食欲を刺激させるとか。 特に北京ダックの描写は「チクショー」と叫びたくなるほど。

鉄道に興味のある人以外にも、共産圏の「空気」を感じたい人にも是非。 列車に乗ってどこか旅に出たくなる一冊だ。