伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

「B級グルメ」の地域ブランド戦略(関満博・古川一郎編/新評論)

B-1グランプリでも脚光を浴びている「B級グルメ」を比較的小規模な地域産業として分析した一冊。本書が刊行されたのが2008年1月と一般的にはちょっと前だったこともあり、ここで取り上げられているものは全般的にある程度定着したものが中心になる。その為、現在進行形のB級グルメは取り上げられていない。

ネガティブな話から入って恐縮だが、そもそもB級グルメには色々問題がある。元来、地元民の日常食という側面が強いものは別地域で提供が難しいなどだ。例えば岡山県は日生の「カキオコ」なんかが代表例だ。同様の問題はホルモンなどいわゆるバラエティミートを使ったメニューなどにも発生しうる。食中毒でも起こそうものなら、ブランド以前の問題になってしまう。

また「新しい」B級グルメが雨後の筍のように勃興しているのも色々と突っ込みたい所がある。正直、「なぜその地域でその食べ物が?」という疑問符がついてまわるシロモノも多いのだ

本書がそういったB級グルメの負の側面に焦点をあてられているかというと、極めて限られた範囲にとどまっている。正直に言えば、「戦略」を名乗るには若干不満が残る内容である、と言わざるを得ない。

さらに言えば、B級グルメの成功例として列挙されている対象も若干疑問符がつく。川崎の焼肉街は「集積」という観点では重要なのかもしれないが(それでも本文中に触れられている通り、軒を連ねるという具合では無いそうな)それであれば、香川県のさぬきうどんの事例の方が成功例としてはわかりやすいし、ブランド戦略という観点では明確になったのではないかと愚考する次第。

ただ、「B級グルメ」の先行事例としては大変読むべき価値があると思う。特に盛岡のジャジャ麺については必読だ。B級グルメを展開する上での問題点について、比較的真摯に記述しており、これからB級グルメで町おこしを…と考える向きにも勉強になる記述だ。先に述べた「新しい」B級グルメに対する警鐘として、一読に値するものだと言えよう。

地域産業政策というお堅い側面ではなく勝手連的に動いていきたい、そんな人たちに本書を参考に新たな取り組みを進めてほしい、そう思える一冊だ。