伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

今日のはてブ(2017/01/18)(1)

倉庫や製造現場でウロウロ三年やっていたこともある、伊達要一です。我ながらよくわからない人生と思ってなりません。
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要するにハンディターミナルということ

過去にWindowsベースのスマートデバイスはハンディターミナルの代替として一定の需要があると書いてきました。
yohichidate.hatenablog.com
yohichidate.hatenablog.com

ハンディターミナルというと今ひとつピンと来ない向きも多いようですが、実のところそれなりに利用者は多いはずなんですよね。倉庫や製造現場という極めてシビアなコンディションで用いられる*1ものはともかく、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのようなチェーンストアは大概WindowsOSを搭載したハンディターミナルを使っている筈です。というのも、大概のチェーン店の場合、POSと連携した形で在庫情報や売上情報、売上予測などの情報が出せて仕入れ発注にそういった情報が必要になることもあり、導入時期こそ違いがありますが大抵仕入れ担当の店員はこの手の端末を操作しています。極度に自社業務に特化していることが多いため、あまりそれという認識が無いだけなのかもしれませんが。

【.biz】富士通、フルWindows 10搭載の6型片手持ちタブレット「ARROWS Tab V567/P」 ~120cmの耐落下性能やIP54準拠の防滴/防塵機能を備える - PC Watch

一般的なイメージのタブレットスマートフォンではなくて、倉庫なんかで使うWindowsCEベースのハンディターミナルの代替ですね

2017/01/18 10:21

この記事で読むべき箇所はここだけです。

 主たる利用用途としては、運送/倉庫での在庫管理や物流システム、病院における回診端末、教育現場、店頭接客など。

【.biz】富士通、フルWindows 10搭載の6型片手持ちタブレット「ARROWS Tab V567/P」 ~120cmの耐落下性能やIP54準拠の防滴/防塵機能を備える - PC Watch

富士通といえば典型的な日本のSIerで、チェーンストアや製造業にはガッチリ食い込んでます。間違いなくハンディターミナルの代替提案としてこれを担いでシステムごと提案に回ることでしょう。

ハンディターミナルとそれにまつわるシステムは、時期として90年代の後半から2000年代の前半くらいに大規模な展開が行われたという印象があります。これは印象論だけではなくて、当時WindowsCEという組み込み用途向けのOSが1996年にリリースされていることが傍証となります。一般向けにはモバイルギアカシオペアといったハンドヘルドPCのOSというイメージが強いですが、どちらかといえばチェーンストア向けのハンディターミナルに使われるOSとして地味に普及していました。製造業に関していえばファクトリーオートメーション(FA)の展開なんかのタイミングと関わることがあり、更に世代が古い独自OSを用いてテキストデータを中心にデータ連携させるものも結構あったりします。
で、現在2017年なわけですが、2000年に導入したとして15年以上経過しています。システム自体は細かい改修やカスタマイズを施して弥縫しているものと思われますがいかんせん端末自体の劣化は相当厳しいことになっています。さらに上述したハンディターミナルなんかはもっと期間が経過しており、システムよりもハンディターミナル自体の老朽化やさらに交換用バッテリの製造中止やデータ連携用メディアが使えないといった、色々とコメントに困る状況に陥っているわけです。

こういった機器について、一時期Microsoft側の制約が大きく中々出てこなかったんですが、Windows10になってそこの縛りが緩くなりようやく出てきたという感がありますね。恐らく次はPanasonicあたりがTOUGH PADファミリで出してくるんじゃないでしょうか。今回出てきた富士通のARROWS Tab V567/PはIP54*2レベルで防爆仕様にはなっていないため火気厳禁の製造現場や倉庫では使えないですが、PanasonicであればTOUGH BOOK/TOUGH PADファミリでのノウハウもあるし出してきそうです。
現にFZ-E1というWindows Embedded 8.1 Handheld Update 2やAndroidを搭載したモデルで防爆対応のものが既に出てます。
panasonic.biz
恐らくCPUやメモリを強化してWindows10版のものを出してくると思います。

*1:火気厳禁のところだと防爆仕様が必要だったりする

*2:有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない(防塵形)であらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない(防まつ形)

今日のはてブ(2017/01/17)

昔、労働安全衛生法関係のところでヤバい状態を放置していた現場にブチ切れて部門を巻き込んだ大騒ぎに発展させた前科があります。伊達要一です。
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本命は36協定違反隠しのヤミ残業

過去何回かこのネタは取り上げてきましたが、いよいよもって大事になって参りました。
(過去の関連記事は末尾にまとめて掲載します)

JRA、電通の競争入札参加停止 違法長時間労働で措置:朝日新聞デジタル

事前にこういった規定を導入していたクライアントも当然あるだろうし、36協定違反隠しのヤミ残業問題はより一層波紋を広げそう。

2017/01/17 14:33

昨年末に電通の石井社長が沈む船から逃げ出す鼠よろしく辞任を表明したんですが、このあたりの入札指名停止なんかも関係しているとようやく気づきました。このニュースを受けていわゆるお役所関係の入札公告とかをざっと眺めたんですけど、確かに労働者保護法令違反を理由に入札から排除する例は結構ありますね。

例えば、東京労働局から出ている「平成27年度 墨田合同庁舎・町田地方合同庁舎 交通誘導業務委託」だと以下のような文言が記載されています。

2 競争入札に参加する者に必要な資格に関する事項
次の各号の要件を全て満たしている者であること。
(中略)
(7)過去 3 年間に、労働基準法労働安全衛生法最低賃金法、職業安定法、労働者派遣法などの労働者保護法令の違反で司法処分に付されたことがないこと。

平成27年度 墨田合同庁舎・町田地方合同庁舎 交通誘導業務委託

別件で国土交通省関東地方整備局では具体的に業者を名指しで指名停止措置をかけていたりもします。

指名停止措置の概要
(中略)
3.指名停止措置の範囲:関東地方整備局管内

4.事実概要
 当該業者の代表取締役は、法定の除外事由がないのに、同社の労働者に対し、法定労働時間を超えて時間外労働させたことなどから、労働基準法に違反するとして平成26年1月8日付けで常陸太田簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受け、当該命令が同月30日に確定したことが、建設業許可部局の監督処分により判明した。
 
5.指名停止措置理由
 有資格業者である当該業者の代表取締役労働基準法に違反したことは「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」(昭和59年 3月29日付け建設省厚第91号)及び「地方整備局(港湾空港関係)所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」(昭和59年3月31日付け港管第927号)別表第2第15号(不正又は不誠実な行為)に該当する。

国土交通省関東地方整備局 指名停止措置について

地方自治体なんかでも同様の事例は結構あるようですね。抜書が面倒なのでリンクにしますが赤穂市では明文化されたものがWeb上に転がっています。

今回、検察送致だけの状態で適用したのはかなり動きが早いですが、この後起訴され裁判となって処分が確定した場合お役所関係の案件について軒並み入札から排除されることが予想されます。1ヶ月の指名停止は短いようで結構大きくて、現状取り扱っているような案件でも取り消しになったりするわけで、電通としてはそれなりに痛手を被ることになるでしょう。冒頭石井社長が辞意表明という話をしましたが、本件に関する管理責任について株主代表訴訟を受けたりすることも含めて考えるとまさに逃げ出す頭の黒い鼠というのが当てはまるの感ありといったところです。

この動きですけど、最終的には2020年に開催される東京オリンピックに関するところにも関わってくるんじゃないかと密かに思っています。現状では電通の扱いだそうですが、この後裁判で処分が出たときに当然大々的に報道されることが予想されるわけでそのときに維持出来るかどうかですね。法的な部分については恐らく逃げが打てたとしても当局としては面倒を避けるという意味で扱いを外すなんてことも出てくるんじゃないでしょうか。まあ、国内で他に受けられるであろう博報堂も急に振られてもというのはあるでしょうから、現実的には微妙なところでしょうか。よくわかりません。

で、東京労働局や労働基準局絡みの動きです。
過去の記事でも少し書きましたが、今回の事件について当局としては単純な36協定違反で済ませるつもりは毛頭なくて本命は36協定違反「隠し」のヤミ残業やタイムカード等改竄のところでとことんまでやることを考えているように思えます。今回のケースで見えてきたわけですが、36協定違反に対して本来法に基づく対応をせずにヤミ残業やタイムカード等の改竄という犯罪行為をするインセンティブがそれなりにあるんですね。過去当局としては36協定違反を中心に取り締まっていたという経緯もあり書面上整った状態になっていれば良いような空気になっていたところに、思いっきり爆弾を投げ込んだ感があります。それで強制捜査が入って改竄されている可能性が高いタイムカードと入退館記録という「宝の山」を拾われてしまったわけで。

年末の検察送致からマスメディアへ当局サイドからリークされている情報が色々と出回っているわけですが、上記の「宝の山」を用いて追加でヤミ残業やタイムカード等改竄のところにつき、検察送致する自信があるという傍証ではないかと考えます。こちらでも法人として検察送致からの起訴・裁判・処分のコースを辿るとなると相当な数の役員や幹部職員が立件される可能性があります。
それこそ、今回の事件で犠牲になった方の所属していた部署だけではなくて全社的に横行していたとなればほぼ全社レベルで立件対象者が出てそのうち悪質なものを随時立件することになるのではないかと思われます。

労働法関係で刑務所にブチ込むなんてところまで持っていくのは現実的じゃない*1けど、晴れてゼンカモンであります。社内の処分でどのくらいパージされるかまでは電通の社内事情になるんでしょうけど、最低でもお役所関係の案件に関しては本件に関して無傷の人間を持ってこないと立場的に辛いことになるでしょう。

無責任な立場で言えばもうここまで来たらとことんまでやるしか無いわけですが、電通側が当局に恭順を示すタマとして上で書いたような東京オリンピックからの撤退も起きるのかもしれませんね。

*1:本件に関して適用されるであろう罰則は「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」であるため、恐らくは罰金刑で懲役だったとしても量刑相場として執行猶予はつく可能性が極めて高い

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今日のはてブ(2017/01/11)(4)

Excelは日常的に使うんですがWordはあまり起動したことがありません。伊達要一です。
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内部はグチャグチャのMicrosoft Office

最近ちょっとした翻訳を自分のためにやっていたりして、最初から箇条書きがあったりすることもあってMicrosoft Wordであれこれ書いていたりするんですが、このニュースを見て驚きました。

Wordさんは今日もおつかれです - Qiita

これはちょっとびっくり。ある程度整形したテキストを最初から書きたいときにWordであたまから書いていたけど止めた方がいいのか……

2017/01/11 10:05

PCを使い始めてかなり初期からテキスト打ちに関してはエディタを使っていました。
最初はEmEditorを振り出しに長らく秀丸エディタを使っていて、最近はVim秀丸エディタの併用といったところですね。とにかくシステムに対する負荷が小さいのがキモでストレスが無いのが大きいです。どうしてもある程度体裁を整えた文書を作成しなければならないときには、テキストエディタで書き上げたものをWordに貼り付けて整形するという使い方がメインです。

冒頭書きましたがちょっとした翻訳をやっているときにページ割を合わせたりする関係があって最初からMicrosoft Wordで書いているんですがこれを読んで驚きました。野放図に汚いXMLを吐き出すことになるんであれば考えなきゃならないですね。

Wordさんは今日もおつかれです - Qiita

途中でこうなるのは仕方が無いとして、ファイル→情報の中あたりに「最適化」とかがあってガベージコレクトできるといいんだけどなぁ。

2017/01/10 15:54
b.hatena.ne.jp
このはてブにもありますがシステム的に最適化をかけて整理出来ればいいんですけど、そういった仕組みが今のところないんですよね。Microsoftには改善して頂きたいところです。

今日のはてブ(2017/01/11)(3)

IT屋の端くれとして仕事をしていると血圧が上がり健康に良くありません。伊達要一です。
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システムの継続的開発による陳腐化の防止――その手段としてのDevOps

システム開発もシステム運用もインフラ周りも一通り触ったことがある立場からすると色々と趣深いものを感じてなりません。

DevOpsの究極は運用グループがなくなること? AppDynamicsの事例にみるDevOps | Think IT(シンクイット)

DebOpsはここに出ているような消費者向けサービスでの適用が今のところ主流だけど、むしろユーザ系SIerのような分野の方が向いている気がする。

2017/01/10 09:32

DevOpsという開発手法自体はアジャイルソフトウェア開発や継続的インテグレーションとも関係性が強いので、単体で論評することにそもそも違和感を覚えてならないところがあります。
それはさておき、こういった手法は主にWeb系の業界で使われることが多くてSIer界隈――とりわけユーザ系SIerなんかではプレーヤーにもよるところではありますが遠い話に感じるところです。実際のところユーザ系SIerの主力業務は財務・経理系の基幹システムなんかの運営が中心で基本的には「枯れた」仕組みの中で動くことが多くてDevOpsのようなチョコチョコと変えていくような手法は馴染まない部分なのは確かです。

ただ、そういった基幹システムなんかは極論すればパッケージをドンと導入してお終いの世界であって、そこで企業の競争力強化に繋がるような性質じゃなくてIT屋の正道からは外れているんですよね。むしろ現場業務に近いところでフォースマルチプライヤーとして働くようなタイプのシステムこそがIT屋の正道だと思っています。もちろん細かいシステムが乱立することが適切か? ということについては議論が必要だけども、何でもかんでも大きな大福帳で管理出来るほど現場業務というのは単純な話じゃない。そういった部分をサポートしてフォースマルチプライヤーとして機能するようなものを継続して作り上げていくことが重要なんじゃないかと思う次第です。

この前提に基いてDevOpsのような開発手法を見てみると非常に馴染みやすいんですよね。現場に近くにある程度ITプレーヤーを常置しておいて、短いスパンで必要な機能や不要な機能を改廃していくことをしていくことでタイムリーにフォースマルチプライヤーを提供していくということは、むしろWeb系の界隈よりも分かりやすく思えます。まあ、私自身がWeb系界隈をよく理解していないというのも大きいんですが。

今日のはてブ(2017/01/11)(2)

マツダデミオを買って以来すっかりマツダファンになってしまった伊達要一です。我ながら随分と単純な性格をしていると思ってなりません。
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内燃機関イノベーションが生み出す地平

ここのところハイブリッド自動車電気自動車、水素燃料電池自動車といった技術にばかり焦点が当たる傾向がある中で非常に興味深い話が出てきています。

マツダの新エンジン 3割省燃費 ガソリン車でリッター30キロ

予混合圧縮着火自体はかなりロングスパンで開発していたものなので、マツダファンとしてはモノになって欲しい。日経発ってのが気がかりだけど。

2017/01/10 10:22

予混合圧縮着火技術(HCCI)はマツダ以外の会社でも開発が進められていて、日産は将来技術として研究中とウェブサイトにも掲載していますし、メルセデスベンツなんかも研究しているみたいですね。

ガソリンエンジンは空気と燃料を混ぜた混合気に対して点火プラグを用いて着火させて燃焼させることでピストンを動かす仕組みなわけですが、予混合圧縮着火については混合気を圧縮することで自己着火させて燃焼させる仕組みとなっています。前者の場合着火させたところから燃焼が広がりますが後者は混合気が全体的に燃焼します。両者の差異は用いる燃料の量で後者の方が少ない燃料で燃焼することが可能になります。これは前者の場合着火させたところから遠い地点の混合気が燃焼せずそのまま排気されてしまうのに対して、後者の場合は均一な混合気全体が燃焼するため燃料のロスが少ない点が要因となるわけです。

ただ、実現させるために必要な圧力と温度の条件が厳しい*1ため各社とも研究中の技術というのが現状です。主にこの条件を緩和させるための手法を探っているというところでしょうか。

マツダに関していうとかなり前から研究を進めていることは様々な媒体で報じられていて、2015年には「2020年までに、グローバルで販売するマツダ車の平均燃費を2008年比で50%向上させる」と公言しており、恐らくこの時期までには実用化させると見られていました。今回日経というある意味非常に微妙なメディア*2ではありますが、具体的な時期(2018年度末)や車種(アクセラ*3)も報じられているあたり非常に興味深いところです。
冒頭に述べた通り内燃機関に依らない*4技術に注目が集まる中、内燃機関に注力していることはある意味「人の行く裏」を進むようなところがあります。ただ、内燃機関単体の燃費を大幅に改善することが実現されればエネルギー資源の消費に対する効率は内燃機関に依らない技術に対して優位に立つことが可能であって、かつて自動車の黎明期に電気自動車ガソリンエンジン自動車に敗北したようなことが再現されることは十分に考えられます。実際、日経の記事を丸ごと信用するのであれば現行のアクセラハイブリッド自動車モデルよりも燃費で優位に立つということになります。

非常に面白い話ですしぜひとも実現して欲しいと思う次第です。

*1:そんなに簡単に発生したらガソリンや軽油自体、非常に取扱いが難しいことになる

*2:日経の記事は観測気球的記事や飛ばし記事が多いことで有名

*3:Cセグメントに属するマツダの基幹車種

*4:ハイブリッド自動車内燃機関が主ではありますが