伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

今日のはてブ(2015/01/29)

f:id:yohichidate:20141228094720p:plain

猛烈に歯痛が酷くて非常に辛いです。

「PCの暗号化を解除しないと、飛行機に乗せないよ」といわれたらどうする?


http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1501/26/news096.html
[PC][セキュリティ][IT][暗号化][空港][保安検査]これは厄介な問題で、ことに保安要員がそもそも信用出来ないケースが多々ある中で非常に困りますわな。

(追記)あまり海外の悪口をいうのは好きじゃないけども、現実的に機内預けの保安検査で中身の開封を行っている際、紛失などのトラブルは起きると思っていた方がいいわけで、この手の保安要員を過度に信用するのは問題でしょう。
一方で、単純に起動=>デスクトップ画面の表示程度で済むのであればそこまで強固に対策をしなくても対処可能な面はあるわけで、これ自体は利用者側の自衛である程度担保できるかと。

で、その先ですよね。PCそのものを預かって調べるみたいなことを言い出す事態ってのは今後起きうると思います。基本的にはネットワーク越しにデータを拾う形にすべきなんだろうけども、何が何でもシンクライアントってのも若干どうかとは思います。特に海外に出るようなシーンでネットワークが(安定性の観点で)信用できるかというとかなり微妙なので。

続きを読む

今日のはてブ(2014/09/20)

f:id:yohichidate:20141004210658p:plain
かなり色々とボロボロな状態なわけでアレですが、安定の後付更新です。


Amazon.co.jp、PC/Macで電子書籍を読める「Kindle Cloud Reader」提供開始 -INTERNET Watch
[Amazon][PC][mac][Kindle][IT][電子書籍][ブラウザ]PCで読めるようになるというのはご同慶の至り。提供する幅が広くなればそれはそれで非常に助かる。
(追記)大石英司さんのメルマガで知ったんですが、週刊アスキーKindle版が復活?するらしいですね。
良くも悪くも無く、色々なOutput作業がPCを起点に進む中で資料関係のInputが紙媒体とか専用端末というのはいかんせん不便で、ここらへんが電子化するのは大変に助かります。正直、日本国勢図会だとかのサーベイ資料とか電子版が出てくれると大変に助かるんですが……

続きを読む

ガッデム(新谷かおる/MF文庫)

   
モータースポーツというのはいつの間にか日本ではかなりマイナーなものとなってしまった。F1は地上波での放送が無くなってCSに移行しちゃったし、SuperGTもそれなりに人気はあるものの、どうしてもコアな連中だけに支持されている感がある。それに、日本でやっているというのに、実況中継は相変わらず地上波ではない。ヘンな再放送とかゆるいバラエティを流すよりも、よっぽど面白いものなのにと隠れモータースポーツファンのぼくとしてはほぞを噛む思いだ。
さらにラリーとなると…… もうこれはお察しのレベルだ。昔は日本でもラリーがちょこちょこ行われていたが、今となってはもうやっていない。それどころか、スバルのインプレッサが一人気を吐いていたのも昔の話だ。寂しい限りである。
でも、ラリーってとっても面白いものなんだよね。サーキットという、ある意味クリーンな環境ではなくて、普通のクルマが走るような道を突っ走る。クルマの本当の実力をはかるという意味では、物凄く意義深いしエキサイティングなものなんだ。
本作はそんな自動車ラリー競技を取り上げたフィクションだ。外国メーカーは実在するものを使っているけども、国内のメーカーは一応架空のものとなっている。でも、ちょっと読めばどこの会社がモデルかは大体想像がつく程度のもじりだから、コアなファンからするとクスリとできるかもしれない。
自動車ラリー競技というのは、物凄くもどかしいものだ。普通のレースであれば、一番最初に到着したヤツが勝つというとってもわかりやすいものなのだが、そうはいかない。点数とタイムで争われる競技だから、すべてのクルマが帰ってくるまで結果が出ないなんてこともありうる。そこがわかりにくい、マイナーなものにしている原因の一つなのかもしれないが、本作を読むとそれがまさに魅力だということがわかる。複雑なレギュレーションの中、ドライバーだけじゃない各チームそれぞれが力の限りを出し尽くすことが勝利につながるということが、とても複雑で興味深い人間ドラマを描き出すことになる。本作はその魅力を十分に書き記していると言っていいだろう。
若者の自動車離れと言われている。その実は自動車メーカーをはじめとした連中の自業自得(若者が十分な可処分所得を得られない状況と、ムダに高い維持費、それにほかの娯楽に勝つだけのPR不足)なんだけども、それでも自動車というメカはとても面白いものだ。こういった作品から自動車というものに興味を持ってくれると非常にうれしい。

駅前の歩き方(森田信吾/モーニングKC)


B級グルメブームである。ちょっと田舎に行くと町おこしとやらで、よくわけのわからない食べ物が売り出されている。それどころか最近ではそんなメニューを集めたイベントが開催されて、またそこに人がわんさか集まるなんてことになっていたりする。最近では地域活性化というコンテクストでの研究だってあったりするくらいだ。
これほどまでに盛り上がっているB級グルメだが、ぼくはどちらかというと批判的に見ている。地元でもともと食べられているものが盛り上がるというのなら、それはそれでいいのだけども、無理やり作り出されたそういったものを見るとそこに必死さを感じてしまうのだ。
本作は地元でもともと食べられているものばかりを取り上げたB級グルメマンガである。そこそこ売れている歴史小説家と編集者の珍道中を物語の根幹にしながら、偶然出会った地元でもともと食べられているもの(本作では「常食」と呼んでいる)を紹介する。
ここで取り上げられている食べ物はどれもほかの地域からすれば奇妙な食べ物だ。だけども、地域で愛されて残ってきた食べ物には不思議な説得力がある。わざわざB級グルメと言い張らなくても、現にそこに在るものと言える。
「孤独のグルメ」なんかと同じように少し古いマンガだけども、十分読んで価値があるマンガだと思う。見かけたら是非読んでみて欲しい。

砂の薔薇(新谷かおる/白泉社文庫)

   
   
PMC(Private Military Company)というものがある。簡単に言ってしまえば傭兵とかの派遣会社のようなものだ。ずいぶんと昔からこれに類するものが存在していたが、最近イラク戦争とかの関係で注目されるようになってきた。もちろんこの注目は基本的にはネガティブな文脈で語られることが多いのだが、現実的に自国軍で手が回らないところが多い昨今(とくに歩兵戦力は政治的理由もあってなかなかフルには難しい)必要悪のようなところはある。
本作はそんなPMC――CATに所属する美しい女性たちのテロとの戦いの物語だ。空港爆破テロで夫と子供を失った主人公、真理子・ローズバンクを指揮官とした傭兵部隊がテロをぶっ潰して回るという筋書きである。
あくまでもフィクションであるという前提が必要ではあるが、PMCというものに着眼した著者の発想には瞠目せざるを得ない。何しろ本作は1990年代初頭に書かれたものなのだ。まだまだPMCというものが一般的には未知なるものだった時代に、ここまで精緻に物語をくみ上げるとは、いやはや驚きである。
さて、対テロを主任務とするPMCを舞台にしている以上、それについて考えなければならない。彼女たちはテロを憎む。それは、政治的要求を通すために罪のない一般市民、とりわけ子どもたちが犠牲になるということが許せない、と物語では述べられている。なるほど、PMCというものが持つ影の部分にあまり言及せず主人公たちをある種の「正義の味方」とするには巧い筋書きである。
無論、テロ行為というのは非常に嫌らしい「犯罪」である。実際、つい最近のボストンマラソンでのテロでは、子どもが犠牲になるなどしたし一般市民も巻き込まれたと聞く。だいたい、ふつうのこういったイベントでドンパチやられた日にはたまったものじゃない。はっきり言って迷惑極まりない。若干下品かつ冒涜的な比喩をお許し願うならば、バキュームカーを歩行者天国に持ち込んでうんこをまき散らす以上に迷惑な行為だ。爆弾テロなんかやられた日にはうんこが臭いとか言ってる場合じゃないわけだし。
ただ、本作を読んでいるとどうしても対テロという立場からの独善を感じざるを得ない。実際、テロという手段を用いねば政治的主張そのものが無視されている立場のひとたちはどうするんだ? という疑問が浮かんでくる。例えばパレスティナにおけるイスラム過激派なんかもその一つである。松本仁一さんの「ユダヤ人とパレスチナ人」にもある通り、現実的にイスラエルによって「圧政」を敷かれているパレスチナ人はその現実を受け入れるしかないというんだろうか? そりゃ、テロという行為がタチの悪い「犯罪」であることは言うまでもない事実だ。だけども、それをしなきゃやってられないというもう一つの事実はどうなるんだろう。実際本作でそういった複雑な事情を抱えた地域での物語は一切ない。実際、著者も書ききれないだろうし、物語としても非常に重苦しい、エンタテイメントとしてはつまらないものになってしまうからだろう。それは仕方がない。だけども、そういった批判的パースペクティブをどうしても私は持ってしまうのだ。
エンタテイメントとしては(連載が青年誌だったということもあり、多少エロティックな描写が多いのは事実だけども)一級品で、純粋に楽しめる作品ではある。ただ、これを読んだときに多少なりともこういった別のパースペクティブを持てるだけの多様性と教養は持ち合わせて欲しいとぼくは思う。