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伊達要一の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

現代アフリカの紛争と国家(武内進一/明石書店)

アフリカの紛争というとどういったものを想像するだろうか? たとえばルワンダのジェノサイドもその一つだし、最近起きた(起きている)イスラム過激派のテロリズムもその一つと言える。もっと細かいものを取り上げるとキリが無いほどだ。 ぼくの持つイメー…

昭和金融恐慌史(高橋亀吉・森垣淑/講談社学術文庫)

歴史というものを学ぶ意味は如何なるところにあるのだろうか? それは過去に起きた事象から得た教訓を現在に活かすということが大きい。なんとなれば、これこそが人間を人間たらしめる叡智と言ってもよいだろう。なにやら近年の不勉強な輩は「今だけ見ていれ…

工学の歴史 機械工学を中心に(三輪修三/ちくま学芸文庫)

ぼくらの身近のものは当たり前の話だけど一定の法則があって成り立っている。小は機械式の時計だったり大きなもので言えば電気を生み出す発電所だったりする。さらに言えばそれらを生み出す加工用の機械だってそうだ。これらは「工学」という学問分野によっ…

学問と「世間」(阿部謹也/岩波新書)

「学問」が不当に扱われる世の中である。いきなり何を言うのかと思うかもしれないが、実際問題として大学で学問を修めるにあたり実質的には3年余りしか時間が与えられない(いわゆる「シューカツ」というやつのせいだ)状況は「学問」をなおざりにしている…

ハーメルンの笛吹き男――伝説とその世界(阿部謹也/ちくま文庫)

阿部謹也さんというと、ぼくからするととても微妙な思いを抱えた先生だ。正直なところを言えば早くて中学生、ふつう高校生、遅くても大学生までには「読んでいるべき」であって、三十路を手前にして今更読み始めるということの恥ずかしさというのがどうして…

日本人のためのアフリカ入門(白戸圭一/ちくま新書)

アフリカといえばどのようなものを連想するだろうか。紛争? 飢餓? 貧困? 部族対立? 汚職や不正? たしかにこれらはアフリカという地域の一つの側面である。一時期コピペネタとして「ヨハネスブルグのガイドライン」なるものが流行った時期がある。今では…

シビリアンの戦争(三浦瑠麗/岩波書店)

いきなりで恐縮だが、ぼくはドイツ参謀本部のような歪んだプロフェッショナリズムというものが大嫌いだ。ドイツがあんなグチャグチャになったのも、極論を言えば彼らの歪んだプロフェッショナリズムがドイツという国家を自爆に導いたと思っている。同様に日…

空港の大問題がよくわかる(上村敏之・平井小百合/光文社新書)

同人サークルであるイオシスの追っかけをやりながら、フライトシミュなんぞやっていると自然と航空業界に親しむことになる。なんとなれば、イオシスは北海道は札幌を拠点にした(いや、東京組はいるけども)同人サークルであるし、フライトシミュは読んで字…

空洞化を超えて(関満博/日本経済新聞社)

中小企業研究で著名な、明星大教授である著者による、いわゆる「空洞化」問題について解説と提言を行った一冊。 著者は中小企業の現場に密着した調査に定評があり、本書でもそういった視座に基づく議論を展開している。一般に空洞化というと雇用という観点か…

地域を豊かにする働き方(関満博/ちくまプリマー新書)

中小企業研究で著名な明星大教授である著者による、東日本大震災被災地の中小企業から見る地域産業と日本の産業の将来について論じた一冊。 先日紹介した「東日本大震災と地域産業復興」を、一般向け(若干若い世代向けかな)に纏めなおしたような感じで、前…

クルーグマン教授の経済入門(ポール=クルーグマン著、山形浩生訳/ちくま学芸文庫)

ノーベル経済学賞を受賞した経済学者による、経済学入門書。いわゆる教科書的な本とは一線を画し、新書本的な体裁で纏まっているものの、経済学の基本的な部分をしっかりと押さえた素晴らしいものだ(もっとも、原著はやたらと重々しいハードカバーなんだけ…

格差社会 何が問題なのか(橘木俊詔/岩波新書)

京大で教鞭をとる著者による、日本の「格差」問題についてデータをもとに分析した一冊。 いわゆる「格差」問題というのは、どうしてもイデオロギー的な側面とやっかみを中心とした嫉妬がからみ冷静な分析というのがとても少ないのだが、本書はこれに対して極…

震災復興 欺瞞の構図(原田泰/新潮新書)

東京財団上席研究員を務めるエコノミストである著者による、震災復興がムダ使いだ、という主張の一冊。 復興に増税が必要ない、復興と称したムダ使いが行われている、といった総論の部分はぼくも賛同できる。が、あまりに極論過ぎるし実態や現場が見えていな…

地域経済と中小企業(関満博/ちくま新書)

中小企業研究で著名な明星大教授の著者による、東京近郊の中小企業集積について分析・研究した成果を纏めた一冊。 京浜工業地帯ということばを今でも小学校では教えているのだろうか? 今日ではこういった形態での工業集積分類はあまり意味が無いとされてい…

東日本大震災と地域産業復興II(関満博/新評論)

いやはや、メモも取らず一気に読んでしまった。これはスゴイ本だ。先に紹介した同タイトル書の続編。2011年10月1日から2012年8月31日までの中小企業の復興について記述されている。内容的には平易だけどもやはり専門書、大部ではある。でも一度は手に取って…

東日本大震災と地域産業復興I(関満博/新評論)

東日本大震災後2011年10月1日までの地域産業について「現場」での動きを詳述した本。ぶっちゃけた話、かなりの専門書であることは間違い無くて、あまり一般向けではないのだがそれでもここで紹介して色んな人に読んでもらいたい本だ。特に学生さん、それも文…

フルセット型産業構造を超えて(関満博/中公新書)

中小企業研究で知られる明星大教授の著者による、日本の産業構造の転換とそれに伴う東アジア諸国との工業技術ネットワークの形成について論じた一冊。 書かれたのが1993年とこの手の本としてはだいぶ昔に感じるところではあるが、述べられている内容は今でも…

すべての経済はバブルに通じる(小幡績/光文社新書)

個人投資家としても有名な慶應大学准教授である著者による、近年発生している「バブル」についてそのメカニズムを分析した一冊。実務者寄りというよりかはかなり理論的な本で、ちょっと内容は難しめだ。それでも新書として出ている本だし、それほど人を選ぶ…

デフレの正体(藻谷浩介/角川oneテーマ21)

日本政策投資銀行に勤務し地域振興の各分野に活躍する傍ら、平成合併前の約3200市町村の99.9%、海外59ヶ国を訪問した経験をもつ著者による、景気不振についてかなり大胆に論じた一冊。背表紙の惹句に「『景気さえ良くなれば大丈夫』という妄想が日本をダメに…

空洞化のウソ(松島大輔/講談社現代新書)

現在タイ政府政策顧問として出向中の経産官僚の著者による、中小企業の海外進出をプロパガンダする一冊。正直、あまり評価できるものではない。 まず、第一に、なんでこの分野の先行研究である関満博の本が入ってないの? この時点で色々と胡散臭さが漂う。…

歴代首相の経済政策全データ増補版(草野厚/角川oneテーマ21)

慶應義塾大学総合政策学部で政治学、日本外交論、政策過程論を専門とする著者による、戦後の首相の経済政策を中心とした政策概要を纏めた一冊。新書本らしい企画ながら、各内閣における所信表明演説はじめ、施政方針演説、財政演説、経済演説からもひいて紹…

日本の経済格差(橘木俊詔/岩波新書)

日本の経済格差を所得と資産の観点から統計分析し、政策提言をロールズの「公正原理」における「マクシミン原理」に基づき論じた一冊。 曰く「格差社会」について色々と語られる機会は多い。やれ、新自由主義的な経済がどうこうだとか、いや労働組合が既得権…

「事務ミス」をナメるな!(中田亨/光文社新書)

産業技術総合研究所でヒューマンエラー防止の研究を行っている著者による、事務ミスの分析と対策を述べた一冊。 一昔前、製造業というのは3K(キツイ・キタナイ・キケン)職場の典型と嫌われた時代があった。確かにそういったころの製造業は言われても仕方…

「エコタウン」が地域ブランドになる時代(関満博編/新評論)

「人の姿が見える地域」による循環型・持続可能型まちづくりについての報告と提言をまとめた一冊。 ぼく自身、「エコ」という言葉が大嫌いで物凄く胡散臭く考えている一人である。エコをうたい文句にしたペットボトル回収だとか発泡スチロールトレー回収だと…

ドラえもんの鉄がく(国際ドラえもん学会編/にっかん書房)

ドラえもんのもつ世界の広がりというのは、考えてみると色々そら恐ろしくなるほどだったりする。例えばロボット技術という観点では鉄腕アトムと並んで一つの目標になっていたりするわけだ。 また作品世界もスゴイ。ちょっと斜に構えたモノの見方で言えば、宇…

三面記事で読むイタリア(内田洋子・シルヴィオ=ピエールサンティ/光文社新書)

三面記事というものは、洋の東西を問わず雑多なものでそれでいてお国柄を知るには一番便利な代物であって、イタリアの三面記事を集めたこの本もまさにそんなイタリアの雑多なよしなしごとを知るいい本だ。 時期的には2002年の1月から7月で、10年近く前の話だ…

「B級グルメ」の地域ブランド戦略(関満博・古川一郎編/新評論)

B-1グランプリでも脚光を浴びている「B級グルメ」を比較的小規模な地域産業として分析した一冊。本書が刊行されたのが2008年1月と一般的にはちょっと前だったこともあり、ここで取り上げられているものは全般的にある程度定着したものが中心になる。その…