伊達要一@とうきょうDD954の書棚と雑記

伊達要一の読んだ本の紹介と書評、それと雑記

書評

絶対ニコン主義!(マニュアルカメラ編集部 編/枻文庫)

ニコンカメラの最高級機について纏めたムック的一冊。折に触れて「質実剛健」という表現を使っているあたり、まさにニコンのブランドイメージってのはここにあるんだなあと思う。私がニコン信者になったのもこのあたりのイメージに魅了されたのが大きいわけ…

空洞化のウソ(松島大輔/講談社現代新書)

現在タイ政府政策顧問として出向中の経産官僚の著者による、中小企業の海外進出をプロパガンダする一冊。正直、あまり評価できるものではない。 まず、第一に、なんでこの分野の先行研究である関満博の本が入ってないの? この時点で色々と胡散臭さが漂う。…

現場主義の人材育成法(関満博/ちくま新書)

先日「必読」とまで言い切った「現場主義の知的生産法」(ちなみにこのタイトルは誤解をまねくイマイチなタイトルだと思う)の著者が送る「人材育成」についての一冊だ。ただ、ベタ褒めだった前作と比較すると不満が大きい。著者自身が認めているように「発…

歴代首相の経済政策全データ増補版(草野厚/角川oneテーマ21)

慶應義塾大学総合政策学部で政治学、日本外交論、政策過程論を専門とする著者による、戦後の首相の経済政策を中心とした政策概要を纏めた一冊。新書本らしい企画ながら、各内閣における所信表明演説はじめ、施政方針演説、財政演説、経済演説からもひいて紹…

現場主義の知的生産法(関満博/ちくま新書)

ぼく自身の話になるけど、コンサルタントというものが大嫌いなのだ。この大嫌いにはツンデレ的成分が多分に含まれているような気もするのだが、どうにも性に合わない。というのも、コンサルタントと称する連中の成果物が基本的に糞だからだ。「お前の身の回…

どくとるマンボウ航海記(北杜夫/新潮文庫)

この本を最初に読んだのは忘れもしないいつだったか。確か中学一年の読書感想文だったように記憶している。 当時、読書感想文の本を買うのが面倒で実家に転がっていた本書を読んだのがきっかけであった。その当時は読みやすい本だと流し読みをしてチョチョイ…

鉄道地図は謎だらけ(所澤秀樹/光文社新書)

鉄道地図にまつわる雑学を集めた本。特に路線名称だとか会社境界などの細々した話は興味深かった。本書のような鉄道雑学ものは、それ単体では鉄道マニアの知識の羅列になりがち(本書も残念ながらそのそしりを免れない)ではあるが、そういった細々した知識…

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか(町山智浩・文春文庫)

書評とかエラソーにやっててこんなことをいうのもあれだけども、いつもぼく自身は自分の無知と浅学さにビクビクしながら生きている(それ故に無知を無知とも思わない連中を心の底から軽蔑してるのだが、これはまた別の話)。いや、ホント実際の所、マジで物…

日本の経済格差(橘木俊詔/岩波新書)

日本の経済格差を所得と資産の観点から統計分析し、政策提言をロールズの「公正原理」における「マクシミン原理」に基づき論じた一冊。 曰く「格差社会」について色々と語られる機会は多い。やれ、新自由主義的な経済がどうこうだとか、いや労働組合が既得権…

「事務ミス」をナメるな!(中田亨/光文社新書)

産業技術総合研究所でヒューマンエラー防止の研究を行っている著者による、事務ミスの分析と対策を述べた一冊。 一昔前、製造業というのは3K(キツイ・キタナイ・キケン)職場の典型と嫌われた時代があった。確かにそういったころの製造業は言われても仕方…

「エコタウン」が地域ブランドになる時代(関満博編/新評論)

「人の姿が見える地域」による循環型・持続可能型まちづくりについての報告と提言をまとめた一冊。 ぼく自身、「エコ」という言葉が大嫌いで物凄く胡散臭く考えている一人である。エコをうたい文句にしたペットボトル回収だとか発泡スチロールトレー回収だと…

ドラえもんの鉄がく(国際ドラえもん学会編/にっかん書房)

ドラえもんのもつ世界の広がりというのは、考えてみると色々そら恐ろしくなるほどだったりする。例えばロボット技術という観点では鉄腕アトムと並んで一つの目標になっていたりするわけだ。 また作品世界もスゴイ。ちょっと斜に構えたモノの見方で言えば、宇…

三面記事で読むイタリア(内田洋子・シルヴィオ=ピエールサンティ/光文社新書)

三面記事というものは、洋の東西を問わず雑多なものでそれでいてお国柄を知るには一番便利な代物であって、イタリアの三面記事を集めたこの本もまさにそんなイタリアの雑多なよしなしごとを知るいい本だ。 時期的には2002年の1月から7月で、10年近く前の話だ…

アフリカを食べる/アフリカで寝る(松本仁一/朝日文庫)

衣食住という言葉がある。服を纏い、飯を喰らい、そして寝る。そんな人間の有様を巧い具合に言い表した言葉だと思う。本書はアフリカの「飯」と「寝る」を綴った一冊だ。以前読んだ「カラシニコフ」(こちらの書評も書いている(カラシニコフ、カラシニコフI…

旅は自由席(宮脇俊三/新潮文庫)

学生時代は無闇矢鱈と本を読んでいて、図書館で借りては読み、古書店で買い漁っては読み、新刊本を買っては読みと若干正気を疑うような読み方であった。 まあ、この乱読がいまの自分を形成していると思えば、そういう時代もあるのだろうと思うのだが。 本書…

中国火車旅行(宮脇俊三/角川文庫)

80年代のまだまだ改革開放が道半ばだった時代の鉄道紀行。当然まだまだ共産圏らしさが色濃く残っている時代で、国営旅行社のガイドが付きまとうなど時代を感じさせる一冊だ。中国の鉄道というと、2011年にあった温州市の衝突事故もあってあまり良いイメー…

全線開通版・線路のない時刻表(宮脇俊三/講談社文庫)

鉄道趣味というものはとてつもなく幅広く、いわゆる「鉄道マニア」というクラスタに所属していても、全容を把握するのは困難であったりする。その鉄道趣味の中でも比較的一般人にわかりやすく、その魅力を紀行文に仕上げていたのが宮脇俊三さんだ。本書はそ…

時刻表2万キロ(宮脇俊三/角川文庫)

昔々、日本国有鉄道ーー通称国鉄という公共企業体があった。今のJR各社の前身なわけだが、今では考えられないようなローカル線を(主に政治的な要素をはらんで)多数抱えて、経営が傾き今に至るわけだ(このあたり諸説あるがとりあえずはこんな理解で十分…

カラシニコフII(松本仁一/朝日新聞社)

前作の「カラシニコフ」が「失敗した国家」という非常に大きなテーマを扱っているので、どうしても期待が大きくなってしまうわけだが、本作はちょっともにょってしまう感じなのがちょっと残念。本作は前作でアフリカの諸国家のような「失敗した国家」ではな…

カラシニコフ(松本仁一/朝日新聞社)

2004年7月上梓の、今となってはだいぶ古い本だがそれでも読む価値は十分にある。幸い、朝日文庫に「文庫落ち」しているので比較的お手軽に入手できるはずだ。是非、老若男女問わず「朝日だから」などと言わずに読んでみてもらいたい。 とはいうものの、前半…

「B級グルメ」の地域ブランド戦略(関満博・古川一郎編/新評論)

B-1グランプリでも脚光を浴びている「B級グルメ」を比較的小規模な地域産業として分析した一冊。本書が刊行されたのが2008年1月と一般的にはちょっと前だったこともあり、ここで取り上げられているものは全般的にある程度定着したものが中心になる。その…

シベリア鉄道9400キロ(宮脇俊三/角川文庫)

宮脇さんの鉄道紀行は読むと妙に腹がへる。 以前に読んだインド鉄道紀行(角川文庫)も食い物の話があっさりとしか書いてないのに、出てくるカレーといいポタージュスープといい妙に旨そうに見えてくるのが不思議である。本書に出てくる食べ物も実際に食べた…